16 以上のことを私たちが前置きしたのは、バラムの諸々の業や彼の諸々の言葉に私たちが注目できるようにするためでした。それというのも、魔術師たちの間にも少なからざる違いがあるからです。或る者たちはより強力であり、他の者たちはあまり強力ではありません。このバラムは、魔術において極めて有名であり、有害な諸々の呪文において際立って有能でした。実際、彼は、祝福するための権能や諸々の言葉の技術も持っていませんでしたが、呪うためのそれらを持っていました。悪霊たちは、呪うために招かれるもので、祝福するために招かれるのではありません。それで彼は、東方にいたすべての人たちにとって、そのような諸々の事柄における達人のように思われました。たしかに彼の極めて多くの試み――すなわち、彼がしばしば呪いによって、武装した敵を敗走させたという数々の試み――が先行していなかったら、とにかく王[1]は、武器と戦闘によってかろうじて成し遂げられることが諸々の言葉によって行われ得るとは想像しなかったでしょう。それゆえ、このことについて確信があり、頻繁に経験を積んいたバラクは、あらゆる手段や諸々の軍事的な助けを脇に置き、彼の許に使者たちを遣わして、言っています:「諸々の民をご覧ください。彼らは、エジプトを脱出し、地の表を覆いました。そして彼らは、私の近くに留まりました[2]」と。



[1] Cf.Nb.22,4.

[2] Cf.Nb.22,5.

 

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