20 ベルゼブルを呼び求めるのは魔術師たちです。実に、あの民はそのことを知っていました。それゆえ彼らは、私の主イエスに対して嘘をつき、数々の偽りを述べて次のように言っています:「あいつは、悪霊どもの頭ベルゼブルにおいて悪霊どもを追い出している[1]」と。ところが救い主は、たしかにベルゼブルが悪霊どもの頭であることを真実であると知っていましたから、彼らを嘘つきとして非難せず、言っています:「もしも私がベルゼブルにおいて悪霊どもを追い出すなら、あなたたちの子らは何において追い出すのか[2]」。したがって悪い悪霊たちがいるのは明らかです。彼らは、魔術師たちによって呼び出され、善のためでなく、悪のために彼らを助けます。実に彼らは悪行をしでかす用意ができていて、善行を果たすことを知りません。ですから彼ら悪霊どもが、何らかの術と諸々の言葉の配置とによって、バラムをいわば盟友関係に引き入れました。そして彼は、彼らとの盟友関係を頼りにして、人々の許で偉大な人物に見られました。

 ですからそれによって、王は彼の許に(諸々の使者を)遣わし、言っています:「いま来て、私のためにこの民を呪ってください。なぜならあの民は、我々より強いからだ。もしかすると我々は、彼らの内の幾人かを打ち、彼らを(この)地から追い出すことができるかもしれない[3]」。この王は、神的なバラムに全幅の信頼を寄せているように私には見えません。なぜなら彼は、私が思うに、(この)民の内で為された神の諸々の力に関する途方もない話を聞いておびえていたからです。それで彼は、「もしかすると」と言ったのです――バラムの諸々呪いが勝っていて、彼が「彼らの内の幾人かを打つことができ」、おびえた他の者たちを逃走させ、自分の土地から駆逐することができる限りで。



[1] Lc.11,15; Mc.12,24.

[2] Lc.11,19; Mc.12,27.

[3] Nb.22,6.

 

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