16 もしもバラムが相応しかったら、神はご自分の言葉を「彼の口」の中ではなく、心の中に置いたでしょう。ところが彼の心の中には報酬の願望と金銭の欲望がありましたから、神の言葉は心の中でなく、彼の口の中に置かれました。驚くべき偉大な経綸が行われました。すなわち、預言者たちの諸々の言葉は、イスラエルの民の中の限られていた預言者たちの諸々の言葉は諸国の民に届くことはできませんでしたから、すべての民から信用を得ていたバラムを通して、キリストに関する隠れた諸神秘が諸国民に知られ、偉大な宝が諸国の民に伝えられました――心と理解によってよりも、むしろ口と言葉によって運ばれて。しかし私たちは、一つひとつについて暇取るわけにはいきません――すべてを解決する時間がないからです。バラムは、彼のロバに乗って、道を進んでいきました。み使いが彼の前に立ちはだかりました[1]。このみ使いは疑いもなく、イスラエルの子らに付き添っています。「彼は、ロバの口を開いた[2]」とあります――それは、バラムがロバを通して非難されるためであり、占者そして賢者と考えられていた彼が、無言の家畜の諸々の声によって困惑されるためです。



[1] Cf.Nb.22,22.

[2] Nb.22,28.

 

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