しかしそのとき、バラムの口は、「呪いと苦みに満たされ、彼の舌の下には、苦労と苦痛があり、裕福な者たちとの諸々の謀の内に座りました[1]」。実際、彼は、裕福な王から諸々の報酬を期待しました――諸々の隠された所で無実の人たちを殺すために[2]」。しかし神は、「数々の奇跡を常に行う唯一の方[3]」ですから、諸々の敵から救いを鱈来ます。実際、神は「彼の口の中に言葉を投げ入れました[4]」――彼の心は、まだ神の言葉を捉えることはできませんでしたが。実に彼の心の中には、依然として報酬の欲望がありました。そのため彼は、自分の口の中に持った神の言葉の後でも、バラクに、「来なさい。私はあなたに勧告を与える[5]」と言い、どのようにすればイスラエルの子らの前に躓きを置くことができるかを教えました――彼らが諸々の偶像に捧げられた諸々の生け贄を食べ、姦淫するために。それによって民は転び、大いなる災いが民の中で行われました。そしてそれはピハネスが、ミディアン人の女と姦淫したイスラエルを殺すことによって、主の激怒を静めるまで続きました[6]。その後ピハネスは、ミディアン人に対して群を送り、一万二千人のおところを殺しました。ベオルの子バラムも剣の内に(殺しました)[7]

 しかし以上の事柄は、バラムが神の言葉を心の中でなく、ただ口の中に持っていたことを私たちが示すために、幾らか余談としてあらかじめ述べたものです。とはいえ、彼が表明したこと、彼が語ったことは、神の言葉から語りました。それゆえ彼の述べたことは神の言葉です。



[1] Ps.9,28.

[2] Cf.Ps.9,29.

[3] Ps.135,4.

[4] Nb.23,5.

[5] Nb.24,14.

[6] Cf.Nb.25,8.

[7] Cf.Nb.31,8.

 

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