10 しかし、私たちは――『ヨナ書』の中に置かれた箇所であれ、『列王記』の中に置かれた箇所であれ――()文書の諸々の箇所そのものも調べてみましょう――それらの箇所においても、いつもの通り、神的な諸文書は秘密の何がしかを含んでいないかと。『ヨナ書』の中に次のように書かれています:「主の言葉がアミタイの子ヨナに生じて言った:『あなたは立って、偉大な都ニネベに行き、その都の中で、その都の邪悪の叫びが私のところに昇ってきた』と宣べ伝えなさい[1]」と。また、海獣に命令が下り、それがヨナを吐き出した後で[2]、再び次のように書かれています:「主の言葉が再びヨナに生じて言った:『あなたは立って、偉大な都ニネベに行き、私があなたに語った宣布に従って、その都の中で宣べ伝えなさい』[3]」と。

 そしてヨナは「宣べ伝えて、『あと三日で――あるいはヘブライ人たちがこう書かれているのを持っていると言っているように――あと四十日でニネベは破壊されるだろう』と言った。すると、ニネベの人々は神を信じ、断食を布告し、彼らの身分の低い者から高い者まで粗布を身につけた[4]」とあります。また少し後で(聖文書は)言っています:「そして神は彼らの諸々の業を見た:彼らは、自分たちの諸々の悪い道から回心し、悔い改めた――あるいは他の写本で私たちが読むように、彼らは悔いた――。そこで神は、彼らに対して行うと語った邪悪について、行わなかった[5]」とあります。

 ですからあなたは、私たちが預言者に関して取り上げた諸々の箇所において、「あと三日で、ニネベは破壊されるだろう」ということが、神が預言者に語った諸々の言葉の中で言われていのが見出されないのにお気づきください。むしろ、「彼が都に入り、三日かけて歩くとき」、彼自身が、「あと三日で、ニネベは破壊されるだろう」と言いました。したがって、言われたが行われなかったその言葉は、神によって表明されたものではなく、ヨナによって置かれた者であるように見えます。



[1] Jon.1,1-2.

[2] Cf.Jon.2,11.

[3] Jon.3,1-2.

[4] Jon.3,4-5.

[5] Jon.3,10.

 

次へ