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 しかし彼(バラム)が彼(バラク)に告げていることが何であるかを、私たちは聞いてみましょう:「神は人間のように欺かない。人間の子のように怖じ気づかない[1]」とあります。それは、あなたが神について、次のような考えを持ってはいけないと言っています:それは神が、人間――自分の語る諸々の事柄において欺くことができる人間――のようであるという考え。実際、人間たちは、多くの機会に諸々の悪徳によって、自分たちの語ることが真実になることを妨げられるからです。時に彼らは、怒りに駆られて語りますが、怒りが収まってみる、と彼らが語ったことは無駄でした。また時に激情や欲望や思い上がりのせいで、あるいはそれらと同類の他の諸々の事柄のせいで、彼らが悪徳の支配されて語ることはみな、ことごとく無駄であり、空しいものになるでしょう。しかし神は――その方の内にいかなる激情も、いかなる脆さもありませんから――、ご自分の語る一切を諸々の事例の諸々の功績に応じて語ります[2]。したがって、神は決して欺くことができません。なぜなら彼が理性によって表明することはみな、理性を欠如することができないからです。ですから「神は、空しく語る人間のようではなく、人間の子のように怖じ気づきません」。あるいは別の諸々の写本の中で、私たちは次のように読みます:「神は、人間の子のように怖じ気づかせない」と。ところが人間たちにおいては、時として恐怖が判断を変えますが、神は、一切を超える方ですから、何に怖じ気づいて判断を変えることができるでしょうか。



[1] Nb.23,19.

[2] 訳者(朱門)は、愚直に訳している。「外都度の諸状況に応じて相応しく語る」ということ。

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