15 「そして(ヤコブから立ち上がった人間は)、モアブの諸々の君を荒廃させるだろう[1]」とあります。実にモアブは一つの国で、その諸々の君は邪悪の霊たちと諸々の支配(の霊たち)であり、彼らに対する闘争が我々にあると私たちは理解しています。ですから、イスラエルから出た人間は、彼らを荒廃させるでしょう――諸々の支配と諸々の権能を無力にし、彼らをご自分の十字架に釘付けにするとき[2]。そして彼は、モアブの人たちを救い、神の認識へとへと導くことはできなかったでしょう――彼らの内で不敬虔の統治を保持していた彼らを無力にしなかったとすれば。「そして彼は、シェトのすべての子らを略奪するだろう[3]」とあります。シェトはアダムの子です。彼につてエバは、彼が生まれたとき、「実に神は私のために、カインが殺したアベルの代わりに別の種を立ち上げた[4]」と言っています。ですから彼こそ、この世の人類の全体が彼から出たと言われているシェトです。なぜなら、カインから生まれた人たちは、大洪水によって滅びてしまったからです。してがってこの世にいるすべての人間たちは、シェトの子らです。そして、「彼はシェトのすべての子らを奪い去るだろう[5]」と言われるとき、あなたはその略奪物を、私たちが前の箇所で解釈したような意味で受け取るべきです。すなわち(前の箇所では)次のように書かれていました:「彼は、自分の敵たちの諸国を食べるだろう[6]」と。そこでは「彼は、獅子の子と獅子になぞらえられていました[7]」。



[1] Nb.24,17.

[2] Cf.1Col.2,15.

[3] Nb.24,17.

[4] Gn.4,25.

[5] Nb.24,17.

[6] Nb.24,8.

[7] Nb.24,9.

 

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