民数記第十九講話

 この同じバラムの第五の、そして最後の幻が私たちによって検討されます。他の諸々の幻と同様に、それについても、私たちが、真理から決して離れずにその幻の意味を把握することができるよう、主が最後まで私たちをお見捨てにならないように祈りましょう[1]

さて、その始めは、次のような諸々の言葉の内にあります。こう言っています:「バラムがアマレクを見たとき、彼は、彼のたとえ話を受け取って、言った:『諸国の民の始めはアマレク。そして、彼らの種は滅びるだろう』と」。(聖文書の)どのような諸々の箇所で、そしてどんな時に、アマレクの名前が書かれたか、そしてその国民はどのような部族から下降してきたのかを[2]、神的な諸々の書の中で探求する必要があると私には思われます。実際、同じ事柄について書かれた諸々の事柄を多くの箇所から提示されれば、求められている事柄はもっと容易に知られるでしょう。

さて、ソドムの中で君臨していた四人の王たちを攻撃するために、五人の王たちが同盟したとある『創世記』の読みの少し後で[3]、次のように述べられています:「そして彼らは戻り、裁きの泉、すなわち、カデシュに向かい、アマレクのすべての君たちと、ハツェツォン・タマルに住むアモリ人を殺害した[4]」と。それらの箇所で初めてアマレクの名前が挙げられたのを私は覚えています。



[1] Cf.Ps.77,8; Lm.3,31.

[2] 訳者(朱門)は、愚直に訳している。

[3] Cf.Gn.14,1-3.

[4] Gn.14,7. なお、今まで言い忘れていたが、訳文中の固有名詞は、本作品の最初から一貫して、新共同訳に従っている。たとえば、訳文中の「ハツェツォン・タマル」は、ラテン語原文では「ササンテム(Sasanthem)」と表記されている。