11 そこである人は言うでしょう:それらの事柄がそのように書かれていて、もしもアブラハムが私をモーセの諸々の言葉に差し向けて、私がそれらを読んで、あの「諸々の責め苦の場所[1]」を逃れることができるようにさせるとしても、ゲヘナを避けるために私が(それらを)読んだ場合、どんな利益が私にあるでしょうか。

 どうして「ルベンの子らとガドの子らとマナセの半部族[2]」は、ヨルダン川の向こう側で、モーセから嗣業地を受け取ったのでしょうか。なぜなら彼らに、他の諸部族に比べて多くの家畜があったからです[3]

 そして、なぜなら、モーセは彼らに次のように言ったからです:カレブとヨシュアと一緒に土地を探検するために遣わされたあの十人と同じように、あなた方は神を怒らせないように注意しなさい。彼ら(十人)は、「土地はかくかくしかじかであり、私たちはそれを取ることができない」と言っていました[4]

 そして、なぜなら、それらの事柄に対してルベンの子らと他の者たちは、彼らと共に次のように答えたからです:あなたは私たちに、この土地と彼の嗣業地を与えてください。そして私たちは私たちの兄弟たちと共に、ヨルダン川のこちら側で嗣業の土地を求めません[5]。私たちは、私たちの諸々の家畜と私たちの諸々の荷物と私たちの女たちと私たちの子どもたちを残します[6]。しかし、私たちの男たちは、皆一様に行って、ヨルダン川を過ぎ越すでしょう[7]、と。

 そして、なぜなら、それらの後でモーセは、彼ら−−ヌンの子ヨシュアとアロンの子・祭司エルアザル――に命令したからです[8]――ただし次の条件の下で:彼らがイスラエルの子らと共に過ぎ越し、ヨルダン川の向こう側にいる敵たちに対して彼らと共に攻撃し、彼ら(敵たち)から土地を解放するまで[9]。そしてそのとき彼らは、彼らが求めていた王シホンと王オグの土地を得るでしょう[10]。そして、彼らだけに、モーセを通して、ヨルダン川の外側に嗣業地が与えられます[11]。しかし、他のすべての人たちには、ヨシュアを通して、ヨルダン川のこちら側に(土地が)与えられます[12]

 ですから人は言うでしょう:どうしてそれらの事柄は、アブラハムの言ったこと、すなわち、「彼らはモーセと預言者たちを持っている。彼らは彼らに聞くべきである[13]」と言ったことに役立つのか、と。もちろんそれは、それらの事柄を読んだ人たちと聞いた人たちが、あの「諸々の責め苦の場所[14]」の中に落ち込まないようにするためです。



[1] Lc.16,28.

[2] Cf.Nb.32,1.

[3] Nb.32,33.

[4] Cf.Nb.32,8-12.

[5] Cf.Nb.32,19.

[6] Cf.Nb.32,26.

[7] Cf.Nb.32,27,32.

[8] Cf.Nb.32,28.

[9] Cf.Nb.32,20-22.

[10] Cf.Nb.32,33.

[11] Cf.Nb.32,5,9.

[12] Cf.Jos.1,6;23,4;なお、「ヨルダン川の向こう側」(trans Iordanen)、「ヨルダン川の外側」(extra Iordanen)、「ヨルダン川のこちら側」(intra Iordane)

[13] Lc.16,29.

[14] Lc.16,28.