15 ですから、私たちが述べましたように、二重の仕方でエジプトからの脱出と、荒れ野への移行、ならびに、そこから、聖地における嗣業地への進入が示されましたので、今度は、「ルベンとガドとマナセの半部族[1]」が何であるかを、私たちは見てみましょう。

モーセによって託され、しかも「ヨルダン川の外側[2]」に裁定された嗣業地は、イスラエルの十二部族の中に、或る隠された諸々の神秘的な理由によって、全人類の形象を含んでおり、あるいは少なくとも、神の覚知に到達したすべての人たちを福音でいます。ですから、彼らの内の一部は、「ヨルダン川の外側」で嗣業地をモーセを通して獲得しますが、他の一部は「ヨルダン川の向こう側[3]」で、しかも約束の地の中でイエスを通して嗣業地を受け取ります。

実に、「ヨルダン川の外側」に嗣業地が裁定される人たちは、「初子たち」です。彼らはあまり高貴でなくても、咎められるところがなきにしもあらずとしても、それでも「初子たち」です。すなわち「ルベンは、ヤコブの長子[4]」です。彼は、「父の寝台を汚した[5]」としても、長子です。そればかりか、ガドも、側女から出たにもかかわらず、彼自身も長子です[6]。マナセ――彼の半部族はヨルダン川の外側に(嗣業地を)獲得します――自身も、エジプト人の女から生まれたにもかかわらず、長子です[7]。ですから彼らはすべて長子であり、それゆに、私たちのイエスを通してでなく、モーセを通して「ヨルダン川の外側」に嗣業地の分け前をを受け取る以前の民を示しています。



[1] Nb.32,33.

[2] Cf.Nb.32,5,9.

[3] Cf.Jos.1,6;23,4;なお、「ヨルダン川の向こう側」(trans Iordanen)、「ヨルダン川の外側」(extra Iordanen)、「ヨルダン川のこちら側」(intra Iordane)

[4] Gn.35,23.

[5] Cf.Gn.49,4.

[6] Cf.Gn.35,26.

[7] Cf.Gn.41,51.