20　ですから｢イスラエルの子らは、各自の力とともに脱出した[1]｣と、(聖文書は)言っています。彼らとともにいた｢力｣は、｢私はあなたとともにエジプトの中に降ろう[2]｣と言った力です。そして、その力が彼らとともにいたので、預言者は次のように言っています：｢彼らの諸々の部族の中に弱い者はいなかった[3]｣と。しかし彼らは、｢モーセとアロンの手の中で脱出しました[4]｣。エジプトから脱出するには、モーセの一本の手では十分ではありません。アロンの手も必要とされます。モーセは律法の知識を示しており、アロンは神に生け贄を捧げ屠るための熟練を示しています。ですから、エジプトを脱出する私たちは、律法と信仰との知識を持つばかりでなく、神を喜ばせる諸々の業の諸々の実りを持たねばなりません。それゆえ実に、モーセとアロンの手が言及されていますが、それは、あなたが諸々の手によって諸々の業を理解するためです。実のところ、もしも私がエジプトから脱出し、神に立ち返って、高慢を捨て去るなら、私は、アロンの諸々の手を通して、主に牡牛を生け贄として捧げたことになります。もしも私が、興奮と放蕩を抹殺したなら、私はアロンの諸々の手によって、神のために牡山羊の咽を掻き切ったと信じています。もしも(私が)欲望に打ち勝ったなら、(私は)牡牛(の喉を掻き切ったと信じています)。もしも(私が)愚かさに(打ち勝ったなら)、私は牡羊を屠った(と信じています)。ですから、諸々の魂がそのように諸々の悪徳から浄められるとき、アロンの手が私たちの中で働きます。そして私たちが、それらの事柄そのものを理解するために律法から照らされるとき、｢モーセの手｣が私たちとともにいます。したがって、エジプトから脱出する人たちの中に信仰と知識の完成ばかりでなく、諸々の行いと諸々の業の完成が見出だされるためには、彼らに両方の手が必要です。しかしながら、その両方の手は二本の手ではなく、一本(の手)です。なぜなら、主が彼らを導き出したのは、｢モーセとアロンの(一本の)手の中で[5]｣であって、モーセとアロンの諸々の手の中ではないからです。実に両者の手の業は一つであり、完成の成就は一つです。