しかし、私一人では、そこまで昇る勇気がありません。誰か偉大な教師の権威なくしては、それほどひそやかな諸神秘の諸々の奥底に飛び込む勇気はありません。パウロが私を先導し、彼みずからが、この新しく険しい旅の道を私に示してくれなければ、私はそこに昇ることができません。使徒たちの中でもっとも偉大な彼は[1]、地上においてばかりでなく、天においても多くの教会があることを知っており――その内から、ヨハネは7つの教会を数え上げていますが[2]、パウロ自身はしかし、さらに初子たちの教会があることを示そうとしています――、ヘブライ人たちに宛てて次のように書き、言っています。「実際、あなた方は、触れることのできる熱く燃える火に近づいたのではありません。あなた方は、シオンの山、生ける神の国、天のエルサレム、賛美する無数の天使たちの集い、諸々の天に登録された初子たちの教会に近づいたのです[3]」。ですからモーセは、神の民が四つの宿営地ごとに分けられたと述べています。パウロは、聖人たちの四つの位階[秩序]が諸々の天にあると述べ、それらの一つひとつに私たちのそれぞれが近づくと言っています。すべての人がすべての位階に近づくのではありません。ある人たちは、「シオンの山に近づきます」。彼らよりもいくらか優れた人たちは「生ける神の国、天のエルサレムに近づきます」。彼らよりもさらに秀でた人たちは、「賛美する無数の天使たちの集いに近づきます」。しかし、これらのすべての人に優る人たちは、「諸々の天に登録された初子たちの教会に近づきます」。



[1] Cf.Hom.Nb.XXI,2 (SC 29, 418-819)で、パウロは、使徒たちの頂点に置かれている。しかしHom.Nb.II,6(既訳)では、貞潔の点でペトロはパウロに優っているとされる。

[2] Cf.Ap.1,4-11.

[3] He.12,18-23.

 

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