2.校訂版・翻訳

 オリゲネスの『過越について』の修復と校訂の作業は、トゥーラ文書の発見当時エジプト博物館古代文化遺産局ギリシア・ローマ部門に勤務していた O.グエロおよび当時アレクサントリア大学の教授をしていたJ.シェレールよって最初に始められ、その大部分が仕上げられた。次いで P.ノータンが、健康を害したグエロの意向を受けてその作業を継承し、ガザのプロコピオス等によって残されたギリシア語断片との比較に基づいて、欠落箇所や毀損箇所の補完および写本家の不注意に起因する誤写等の補正を一層厳密に行なって、『過越について』のテキストを可能なかぎり修復し、フランス語の対訳およびノータンの前書きとグエロの序文、本文研究、写本研究等を付して1979年にフランスのパリで公刊した。

 次いで、1992年にイエス会のR.J.デリ師が、上記の校訂版と注に基づきながら若干の新しい注を添えて、本書と同時に発見された『ヘラクレイデスとの対話』の翻訳と合わせて、その英語訳だけをアメリカで出版している。

 

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