6.構成

 執筆の動機に関して上で述べた通り、本書は、講話の形で伝えられているヒッポリュトスの『聖なる過越について』という論考にピタリと平行する形で組み立てられている。本書の構成は以下の通りである。右端の数字はパピルス写本の頁の通し番号を示している。なお本訳では、左上に太字のアラビア数字でこれを表示し、第~節と呼ぶことにする。

第一部 『出エジプト記』12,1-11の解釈

序文:パスカという名称について

1-2

エジプト脱出のパスカ

2-3

『出エジプト記』12,1-2

3-16

「この月は諸々のつきの元である」

3-4

「お前たちに対して」

4-7

「元」と「最初」について

7-12

パスカはご受難の予型ではない

12-16

『出エジプト記』12,3

16-21

いかにしてヘブライ人たちはパスカを祝うか

16-17

「この月の十日に小羊を取れ」

16-17

「それを十四日まで生かしておけ」

17-21

「家ごとの小羊」

21

『出エジプト記』12,4-5

22-24

「近隣の人、自分の隣人を自分と一緒に連れて来なさい」

22

「完全な一歳の雄の小羊」

22-23

「山羊と小羊の中から取らなければならない」

23-24

『出エジプト記』12,6-7

24-25

「イスラエルの子らの全会衆は夕暮にそれを殺さねばならない」

25

「その血を家に塗らなければならない」

25

『出エジプト記』12,8-9

25-32

「その肉を火に焼いて食べねばならない」

26-27

「種なしパンと苦菜と共に」(欠落)

27

「生のままで、あるいは水で煮て食べてはならない」

27-29

「頭を足および内蔵と共に」

30-32

『出エジプト記』12,10

32-34

「朝まで少しも残してはならない」

32

「お前たちはその骨を一つも砕いてはならない」

32-34

「朝まで残ったものは、火で焼き尽くされねばならない」

34

『出エジプト記』12,11

34-39

「お前たちの腰に帯をする」

35-37

「足に履き物を着けて」

37-38

「手に杖を持って」

38-39

第二部

序文:パスカの霊的意味

39-41

パスカの小羊・キリストの予型

41-43

旅の身なり

43-47

闇に抑圧されたエジプト

43

異国での滞在

43

ユダヤ人たちの無知

43

指定された身なり

44

異国の滞在者の身なり

44-45

自分たちの祖国へ戻る移住者について

45

キリストの奉献による恵み

45-47

『出エジプト記』12,11

47-49

「急いで食べなければならない。これは主のパスカである」

47-49

結び

49-50