２　諸々の植物の一つひとつが、諸々の身体の健康に対してであれ、その他の何らかの事柄に対してであれ、効力を持っていても、諸々の植物の一つひとつが何に対して有益であるかを知ることは、すべての人のすることではありません。それは、諸々の植物に携わって、いつ摘み取り、諸々の身体のどこにそれを充てればよいか、そしてどのように準備すれば、それは利用する人の益となるかを知った人たちがすることです。それと同じように聖なる人たちは、言ってみれば霊的な薬種家のようなものです。彼は、諸々の神聖な文字の中から一つひとつの｢一点｣を、それも取るに足らない要素に至るまで取り集めます。そして文字の効力を発見し、それが何に有益であるかを見出します。そして諸々の書かれた事柄の何一つとして余計なものでないことを見出すのです。しかしもしもあながた、このことに関して、さらに別の例をお聞きになりたいのであれば、私たちの体の一つひとつの肢体は、製作者である神によって、何らかの業のために造られました。しかし、一つひとつの肢体の効力と効用が、その取るに足らない肢体に至るまで、どのようなものであるかを知ることは、すべての人のすることではありません。一つひとつの肢体が、その極めて小さな部分に至るまで、何に対して有益なものとして、摂理によって作られたかを言えるのは、医者たちの中でも、数々の解剖に関して研鑽を重ねた者たちです。ですからどうかあなたは、(聖書の)すべての諸書も、そのような意味での植物、あるいは、み言葉の一つの完全な体[1]とお考え下さい。そして、もしもあなたが(聖書の)諸書の薬種家でもなく、諸々の預言の言葉の解剖者でなくても、数々の書かれた事柄の内で何事かは余計なものであると思い込まないでください。かえって、あなたが数々の書かれた事柄の理拠を見出さない場合、数々の神聖な文字ではなく、むしろあなたご自身を責めてください。以上は、前置きとして述べてみたものです。これは一般的に、聖書全体に対して有益なものとなり得るでしょう。こうして、読解に集中したいと願う人たちは、いかなる文字も吟味せず無検討のまま放置しないように促されるでしょう[2]。