第2章

 神の書が閉じられ封印されていること。詩篇第1番注解からの抜粋[1]

 神の諸々のみ言葉は、神の諸々の書がダビデの鍵によって、そしておそらく次のように言われている印章によって、閉じられ封印されていると言っている。すなわち「印章の押し跡、主にとって聖なるもの[2]」とある。したがって神の諸々の書は、それらを与えてくださった神の力によって封印されているのである。なぜなら印章によって力が明示されているからである。さらにヨハネも、それらが閉じられ封印されていることについて黙示録の中で教えて次のように言っている。すなわち「またあなたは、フィラデルフィアの教会のみ使い書き送れ。聖なる方、真実な方、ダビデの鍵を持つ方――その方が開けば誰も閉じることがでず、その方が閉じれば誰も開くことができない――がこう仰せになる。『私はあなたの諸々の業を知っている。見よ、私はあなたの前に扉を開いたままにしておいた。誰もそれを閉じることはできない』[3]」と。また少し後で、「また私は、玉座に座っておられる方の右手に巻き物があるのを見た。それは内側にも外側にも文字が書き記され、七つの印章で封印されていた。そして私は、力ある別のみ使いが大きな声で『誰がその巻き物を開き、その諸々の印章を解くのに相応しいか』と呼ばわるのを見た。しかし天においても地においても、地の下においても、その巻き物を開きそれを見ることのできる者は誰もいなかった。そして、その巻き物を開きそれを見るに相応し者が一人も見出されなかったので、私は泣いた。すると長老たちの一人が私に言った。『あなたは泣いてはいけない。見よ、ユダ族から出た獅子、ダビデの根が勝利を得た。彼は、その巻き物を開き、その七つの印章を解くことができる[4]」とある。



[1] 本章は、オリゲネスがアレクサンドリア時代に行なった詩篇注解(第1番から第25番まで)の序文からの抜粋である。その注解は彼の主著『原理論』に先立つ最初期の作品群に属する。

[2] Ex.28,36.

[3] Ap.3,7-8.

[4] Ap.5,1-5. 本節でオリゲネスは、聖書の真の意味を明らかにする主体は、解釈者ではなく、キリストないしは神の力として霊であることを示唆している。C.Celse, II,4; Com.Mt.14,12; Com.Jn.6 (34), 173.