もちろん、諸実体の何らかの交代が生じたとは私に思われない。それを言うことも馬鹿げているように私には見える。むしろ私は、諸性質の変化のようなものが生じると主張し、それらに関して神は造物主であると私は言う。それは、諸々の石から家ができると言うのと同じである。それら(の石)に関しては、諸々の石が家になるからといって、諸々の石が実体としてもはや残らないと言うことはできない。合成の質によって家は生じると私は言う。なぜなら、諸々の石の以前の性質は明らかに変えられたからである。同様に、実体は基底に残るわけであるから、神が実体の諸性質の何らかの変化を行ったと私には思われる。その変化に関して、この世界の創造は神によって為されたと、私は主張する。

それでは、あなたは、諸性質の何らかの変化が神によって為されたと言うわけですから、私が聞きたいと思っていることに簡単に答えていただきたい。同様に諸々の悪も諸実体の諸性質であるとあなたに思われるのか言っていただきたい。

そう思われる。

で、それらの性質は始めから質料の内に存在したのか、それとも存在の始まりを持っているのか。

それらの性質は造られざる仕方で質料に共存すると、私は主張する。

しかしあなたは、神が諸性質の何らかの変化を行ったと主張しているのではないですか。

そう主張する。

(その変化は)より善い方へ、それともより悪い方へ。

より善い方へと言うのが適切であると私に思われる。

そうすると、諸悪が質料の諸性質であり、神がその(質料の)諸性質を善い方に変えたとすれば、諸悪はどこから来るか探求せざるを得ない。なぜならそれらの諸性質は、それらが本性的にかつてあったところのままで存続しなかったからである。以前は悪い諸性質は存在しなかったが、最初の諸性質が神によって変えられたことから、質料をめぐるそのような諸性質が生じたとあなたが主張するなら、神が諸悪の原因になるだろう。なぜなら神が、悪くなかった諸性質を悪い諸性質に変えたことになるからである。それとも、神が悪い諸性質を善い方へ変えたと、あなたに思えないか。そして、善悪無記の[1]他の諸性質だけが、宇宙の管理のために神によって変えられたと、あなたは主張しないか。

始めから私は、そのように考えている。



[1] 「どうでもよい」というのが直訳。ストア派の概念である。