第五節

一つの有機的なコスモス

 

 こうしてオリゲネスの神はその本性において世界を超越すると同時にその愛のエネルゲイアにおいて世界に内在し人間の神化を促すのである。しかしオリゲネスは人間の神化はそれを取り巻く世界と無関係に行なわれるとは考えない。『創世記第一講和』の十二によると、全世界は人間のために創造されもので、『原理論』II,1.2-3でによると、世界は一つの魂によって統合された一つの途方もなく巨大な生物のようなもので、神の力と知恵によって統合された調和のある世界、神の力によってその諸部分が有機的にまとめ合わされ、理性的被造物の神化と共に変容して一つの完成の終末に至る世界であり、また、『エゼキエル書第十四講和』の一では、天も地もすべて有りとあらゆるものが終末の裁きの日には神の子らの栄光の自由に解放されるとまで言われているのである。つまりオリゲネスは、神によって創造され秩序付けられる被造的世界は、神の力によって貫かれ有機的に関係付けられて、理性的被造物の神化のプロセスと相関しつつその神化のプロセスに巻き込まれた一つの有機的で力動的な世界なのである。(Cf.Hom.Ez.,IV,1; Comm.Eph.Fragm.,VI; Hom.Gen., I,10; Hom.Num.,IX,1;XIV,2; Comm.Jo.,XIII,42.278-284)

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