18 新しい光が昇る

 

その頃トゥールーズ出身の誠実で思慮深いふたりの男が兄弟ドミニコの前に現われた。ひとりは後にドミニコ会リモージュ修道院の院長となった兄弟ピエール・ドゥ・セイラという人物で、彼はトゥールーズのナルボンヌ城の近くに所有していた数軒の立派な家を兄弟ドミニコとその伴侶に贈与した。それらの家のおかげで、修道士たちは初めて一定の家を宿とすることになった。もうひとりの兄弟トマースとよばれる者は、すばらしく善良で話好きな人物であった。

兄弟ドミニコとその伴侶はその時から謙譲と自発的な清貧をますます温め、また生活を修道者としての生きかたに順応させようと努カした。

神と人とにいつくしまれる人兄弟ドミニコを心から愛していたトゥールーズの司教フルークはこれを見て新しい光を目にし、喜びに満ちて配下の司教座聖堂参事会員一同の同意のもとに、彼と彼に続く人びとのため、司教区の十分の一税の七分の一を提供した。これで書籍やその他の必需品を整えるためであった。