19 教皇の面前で請願したこと――聖アウヴスティヌスの会則

 

フルーク司教が公会議に出席するためローマへ向かって出発すると、兄弟ドミニコも彼とともに旅立った。そして両者合意の上で教皇イノセントに、兄弟ドミニコと彼の伴侶のために説教者兄弟会と名付ける修道会の創立を許可するよう、また伯爵と司教の与えた収入を許可するよう誓願した。

教皇は全てを聞いた後兄弟ドミニコに、修道士たちのもとに戻り合意の上ですでに定められている会則のひとつを選び、そして司教が彼にある教会を指定するように願ったのち、修道会の許可と他に希望していることの許可を受けるため教皇庁に再び出頭するよう命じた。

それで、兄弟ドミニコは、公会議の後に戻って、修道士たちに教皇の言葉を伝えた。彼らは聖霊へ祈りを捧げたのち、著名な説教者聖アウグスティヌスの会則を一同の同意のもとに選んだ。というのは彼らもまた説教者となるように定められていたからである。そして彼らの生活に一層厳しい規律を課した。すなわち食事・寝具・衣服のことである。また説教の仕事の障害とならぬよう、地上における全ての所有物を放棄することに意見の一致を見た。しかしそれまでに受理していた収入は保持するように命ぜられた。