23 ローマへの帰還

 

兄弟レジナルド兄弟ドミニコはローマへ向かった。そこに滞在中、オルレアンの聖アニアーノ教会の敬うべき司祭長レジナルド帥がオルレアンの司教の供をして聖地へ行くため、梅を越えようとやって来ていた。このレジナルド師は学問において抜群に秀れ名声においても徳においても輝き、パリで教会法の教授職を五年間勤めた人物であった。神に動かされ、所有物全てを放棄し、説教に身を捧げようと心に決めていた。こういう生きかたをしようと考えていたが、いまだこれを実現するに適した方法は考えついていなかった。そしてある機会に教皇庁の一枢機卿に自分の決心を打ち明けるまで人は彼の心を知らなかった。そのとき彼は全てを放棄してキリストの教えを拡め、自発的清貧を身につけて諸処を歩くという生活を実現したいと述べた。すると枢機卿は答えた。 「ちょうど貴下の探しているもの、説教と自発的清貧を信条とする説教者兄弟会が創立されたところである。同会の総長は今ローマの町について説教者としての活動を遂行していた」。