28 十字の印で雨を払いのける

 

信ずるに足る人物兄弟ベルトゥランが語ったところによると、ドミニコの供をして旅をしているとき、突然頭上に大嵐が吹き起こり地面が水で溢れた。その時ドミニコが十字の印をすると、頭上に大蓋のように十字の形が開いて、道路の上に滝のように激しく打ちかかっていた雨が、その十字の下では消え失せた。彼らの上に十字が天蓋のように開いたので、歩いている間、腕三本分の距離のところでは雨水で地面がひたされていくのが見えた。しかし彼らには一滴の水も落ちかからなかった。