30 修道士たちを分散する計画

 

これらのことが起こった後ドミニコはパリに戻り、そこで短期間修通士たちと過ごしたが、すぐまたボローニャへ向かって旅立った。それはちょうど前述の兄弟レジナルドをパリに派遣した頃であった。

方々に修道士を分散する立派な習慣が作られた。人間の感覚では恐ろしいと思われるようなことを、あたかも何が起こるか確信しているように、信じ切って大胆に遂行したのである。聖霊の啓示により、当時の数少ないそしてあまり学識のない修道士を教育し、これを説教のために方々の教会に分散させたのである。これはかなり根拠のあることとして信じてもよい。今世紀の子たちが自分たちの規準で判断すると、大きな事業の基礎を作るどころか、あたかも始められた物を破壊しているように思われる。しかしこれが天よりの働きかけでなされたことは、後に成功を収めたことによって判明する。

聖なる父が分散によって危機にさらしたあの人びとは、彼の祈りによって庇護されていた。