34 広い愛の心――父の後に続こう

 

全ての異端者を広ぃ愛の心の中に包含し、みなを愛したので、彼はみなに愛された。あわれみに満ち、隣人の利益のためおよび悲嘆にくれる者を救うために身を捧げ、喜ぶ人とともに喜び、悲しむ者とともに泣くことを会得していた。そして、みなに快よく思われたのは、常に誠実な道をたどり、一度として言葉にも行ないにも二重性や偽りを見せなかったことである。

清貧を深く愛し、粗末な衣服を着け、粗食で飲物には節制を守った。一皿で満足し、美味な食物を避け多量の水で割ったぶどう酒を飲み、こうして肉体の必要を満たしたので、彼の繊細鋭敏な精神は決して鈍ることはなかった。この人の徳をだれが模倣できるだろうか。彼の手本を見れば、われわれの肉の弱さが推量できる。彼の行なおうとしたことがなし遂げられたというのは、人間の力によるものではなく、特別な恩寵によるものであり、神の慈しみがある人にこのような聖なる運命を与えるのでなければ不可能だ。しかしだれにそれが与えられたであろうか。さあ、兄弟たちよ、われわれの及ぶ限り父の続こうではないか。そしてわれらの贖い主に感謝を捧げよう。彼の生活の輝きと接触することにより、われわれは霊的に誕生したのであるが、主はその人をわれわれの歩く道にお置きになったのである。そして慈しみの父に、切望するあ理想によって息子たちが導かれ、あの目的地に着けるよう願おうではないか。われわの父が基礎を築いた道を通り、永遠の幸福と、あの人がわれらの主イエズス・キリストの助けによって得た変わることのない至福のあの目的地に。父と聖霊とともにイエズス・キリストに、世々に到るまで栄誉と光栄が与えられんことを。