35 死の蔭で

ドミニコの生命がその終局に近づいて目的地に到着する際、善行を積み重ねていたことによって与えられる冠を天において受けるための光栄ある道をたどる 備ができた。そのとき激しい痛みに悩まされ、彼の肉体はボローニャで消衰し始めた。その間、彼の霊魂は堅固に神から離れようとしなかった。

肉体の病が重くなっても、内在ずる徳は失われることもなく、それどころか精神カはかえって強化され、彼の輝きは純化されていった。ボローニャの修道院の十二人の修道士を身近かに呼び寄せ、修道会を守り抜くこと、常に徳を行なうことを勧めた。また彼らに、婦人とくに若い婦人との疑わしい関係を防ぐようにと慎重に忠告した。なぜなら、彼女らの媚は男の霊魂をそそのかし、はなはだしく弱化させるからである。