41 赤い傷痕

 

トマシーナとよばれるボローニャのある娘が、左頬に痛みのあるほとんど回復の見込みのない病を患っていた。そして潰瘍から多量の膿が流れ出し顔が変形していたので、傷痕が消えず痕が残ることは不可避と思われた。いろいろな医療を適用したが空しく、回復の恵みを福なる人ドミニコへ祈願した。この祈りによって健康の恵みを再び得ることができた。次の日の朝、顔の潰瘍の跡は全く無くなり、ただ赤い傷痕があるだけであった。この傷は顔を醜くくすることもなく、素晴しい奇跡の存在の証となった。