44 完全なる回復

 

マンゾリーノに住むジラという婦人が四旬節に入る頃から、福なる人ドミニコの遺体が移されるまでの間、全身にわたる重い病気に苦しみ左腕の感覚を失っていた。腕は知覚もなく乾燥していたので、刺血の傷の痛みを感じるどころか傷口から血も出なかった。この腕は右腕より痩せ細っていたが、右腕も長引く痛みに大部弱っていた。ドミニコに祈願すると完令な回復の恩寵を得た。