52 長い間切望していた健康

ボナフィリアと称ばれる女ができものを患らって、鼻と上唇が損なわれていた。イーゴ(註・さぼてんの実)といわれる病気におかされて、鼻も唇も腫れ上がっていたのである。唇は激しく痛んで鶏卵のごとく口の上に突き出していた。医者の助力もこの病を軽くすることができなかったので、彼女は不安に怯え、ドミニコにすがると、長い間切望していた健康を突然に回復した。