スぺインからの最初の旅立ち――使徒としての熱意の活動

 

み摂理の計らい給うたことだが、前記の司教ディエゴがカスティーリャ国王アルフォンソの依頼によって、王子フェルナンドとある高貴な婦人との婚約を取り決めるため、デンマークへ向かって出発することになった。司教はその地位の上から必要な随員を定めたのち、教区め副院長ドミニコを従えて出発した。

ドミニコはトゥールーズに着くと、住民がかなり前から邪悪な異端の宗教に感染し腐敗していることを知り、彼らの堕落があまりにもはなはだしいのに心はあわれみで震えた。同市に宿を取ったその夜、ドミニコは優しく笑顔で説得を試み、反駁の余地のない道理をもって宿の主人の心を征服し、神の助けによって異端者であった主人をカトリックに改宗させた。

ドミニコの知織と、話をしたその時の彼の精神が勝利をもたらしたのである。