| ウィンディの症例 |
我が家で飼っていたビーグル犬「ウィンディ」も、フィラリアで命を落としました。まだ、7歳。平均寿命の半分です。 ウインディの死の原因は、2年間フィラリアの予防を怠ったことにあります。ウィンディにまったく落ち度はありません。全て、飼い主である私の責任なのです。フィラリアについては、譲り受けたとき指導を受けたにもかかわらず、めったにかからない病気だろうと安易に考えていました。忙しいこと、かかっていた病院が遠いことを理由に予防薬をやめてしまい、日々のウィンディの体調の変化にも気づかぬまま過ごし、気づいた時にはすでに手遅れでした。 ウィンディの死をきっかけに、フィラリアについて調べてみたり、まわりの話を聞いて驚いたのは、フィラリアによって命を落とした犬がまわりにもたくさんいたことです。フィラリアに関する認識の甘さを痛感しました。フィラリアは決して特別な病気ではなかったのです。きちんと予防しておかなければ、簡単に感染してしまう恐ろしい病気なのです。 せめてもの救いは、ウインディの死によって、もう1匹の甲斐犬が手遅れになる前に気づけたこと、我が家の南側のお宅も2年間予防しておらず、感染してしまっていたのですが、その犬も重症になる前に駆除出来たことです。父の会社の方も同様に発見できました。ウインディの死は家族にとって、あまりにも重く悲しい出来事でしたが、ウインディが周りの犬たちの命を救ってくれたのです。 |
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在りし日のウインディです。 |
2004.5.17(月) 朝、いつも通り主人と息子が散歩に出かけたが、ウインディの様子が少しおかしいとのこと。いつもなら一番先に飛び出すのに、今朝は歩くのも大変そうで階段を飛び越えられないので、主人が抱いて中に入れたそう。見てみると、なんとなく元気がなく、昨日のご飯もほとんど食べていない。今日1日様子を見てみることにして、仕事へ出かけた。 夕方、先に帰った息子から電話があり、ウインディが吐いているというので、早めに帰り病院へ連れて行くことにした。以前かかっていた病院は山の中にあり1時間近くかかってしまうため、2〜3年前に町内に開業したN動物病院で診てもらうことにした。 連れて行き、餌を食べないこと、元気がなくおう吐したことを伝えた。フィラリアの予防をしているか聞かれたので、2年間していなかったことも話した。診断は、夏風邪で、点滴をすれば2〜3日で元気になるだろうとのことだった。点滴を首の後ろに打ってもらうと、背中が大きく膨らんだが、自然に吸収されるという。フィラリアの予防をしていなかったことが気になっていたので、「夏風邪」と診断されて内心ほっと安心した。 帰りがけに、軟らかい缶入りのドックフードを買ってあげてみたが、まったく食べようとしない。夜は、玄関に段ボール箱をいれて、その中で休ませた。じっとしていて元気がない。しかし、風邪ならすぐよくなるだろうと楽観的に考えていた。 |
2004.5.18(火) 朝、ウインディの様子をみてみると、何度か吐いたようで、食事は食べていない。今日は、繋がず庭に放して自由に過ごせるようにして仕事へ出かけた。夕方、病院へ連れて行き点滴をしてもらったがあいかわらず元気がない。あまりに元気がないので、「死んでしまうようなことはないでしょうか」と尋ねたが、「風邪で死ぬようなことはめったにありませんよ」という応えに心配は打ち消された。夜は、玄関に寝かせたが、やはり全く食事は食べず、水を飲んでは吐いている。ほんとうにだいじょうぶなのだろうかと、また心配になってきた。 |
2004.519(水) 今朝も、おう吐のあとがあった。まったく元気がないので、庭には出さず、そのまま玄関で休ませて仕事へ。夕方、病院で点滴をしてもらったが、悪くなる一方のようにみえる。ここ2・3日寒かったので天候も影響しているのだそう。ほんとうに大丈夫なのだろうか? フィラリアの可能性はないのだろうかとも思ったが、言い出せなかった。 連れて帰り、今日は部屋の中にいれて様子を見ることにした。息をするのが苦しいのか呼吸が荒い。横になると苦しいらしく必死で足を踏ん張って座っている。 どうしていいかわからず、実家に電話をして母に相談すると、明日甲府の病院を当たってくれるという。思い切って病院をかえてみることにした。 |
2004.5.20(木) 事態は悪化する一方で、呼吸もいちだんと苦しげになっている。1匹で置いておくのはかわいそうだが、出張が入っていて仕事が休めないので、後ろ髪を引かれる思いで部屋に残し職場へ。 夕方母から電話がはいる。以前飼っていた猫を助けてもらったY動物病院がいいのではということだったが、今日はもう間に合わないので、明日実家の父がつれて行ってくれることになった。しかし、このままにしてもおけないので、N動物病院へ連れて行って点滴をうってもらった。ウインディの様子を見て、先生も「おかしいなぁ、いままでこんなことはなかった」と言う。先生にそういわれてしまったらどうしていいのかわからない。明日からは実家へ連れて行って看病してもらうのでこちらには来ないことを伝えて帰った。 主人が聞いてきた話だと、友達のところのラブラドールも突然元気がなくなり2〜3日で死んでしまったそうだ。たぶんフィラリアだろうとのこと。胸が痛い。心の奥で、ウインディもフィラリアではないかと思っていたのだ。でも、先生の「夏風邪」という診断にすがりついていた。フィラリアなら、自分の責任になってしまうことが恐ろしかったのだ。しばらく様子を見ていた主人が「死んでしまうかもな・・・」とつぶやいた。私は応えることが出来なかったが、心の中では同じ事を感じていた。 とにかく明日、Y動物病院で診てもらうしかない。 |
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2004.521(金) 昼、職場へ母から電話がはいった。Y先生は、ウインディを一目見るなり「フィラリアだね。この犬はもうダメだよ」と言われたとのこと。血液検査・心電図・エコー検査をしたがどれもその結論を裏付ける結果ばかりだったそうだ。なんとか助けてほしいとお願いしたら、手術で心臓の中の線虫を取り除けば助かる可能性がないわけでもないが、ここまで体力が落ちてしまっていると厳しい状況とのこと。だめでもいいからわずかな確率にかけて無理を承知でお願いしてくれるように頼んだ。夕方子どもの家庭訪問があったので、終わり次第連絡すると母に伝え電話を切った。仕事中だったが涙が止まらない。やはり・・・。自分でもわかっていた。ただ、そう認めたくなかっただけなのだ。 家庭訪問が終わり、病院へ電話を入れた。今夜、動脈から管を入れて心臓に詰まっている線虫を取り出す手術をするとのこと。会いたいなら、すぐ来るように言われ3人で病院へ駆けつけた。ウインディは、まるでぬいぐるみの人形のようにじっとしていた。呼んでもクリクリッとした瞳はほとんど反応しない。じっと苦しさに耐えているのだろう。そんな姿を見ていると涙が止まらない。子ども達も泣きじゃくっていた。ウインディは、腕の毛を剃られ血管から点滴をしていた。N病院で首に打った点滴は、体力の落ちたウインディの体内には吸収されず全部お腹にたまっていたらしい。それにより腎臓もダメージを受けてしまっていて、利尿剤と強心剤でなんとかもっている状況とのこと。手術しても、助かる見込みはわずかで、Y先生の「あと3日早ければ助かる確率はずいぶん高かった」という言葉に愕然とした。 体力が落ちているウインディが、まず、第1段階として麻酔に耐えられるか、そして第2段階が麻酔から目覚めることができるか、そして第3段階として、食べられるようになれば助かる可能性は出てくるという。手術は1時間ほどで終わるので、実家で待っているように言われ、ウインディにがんばってねと声をかけ病院を出た。もしかしたら、これが最後かもしれないなという思いが頭をよぎる。 実家で待っていた1時間は限りなく長く感じた。ほとんど会話もなくみんなが電話を待っていた。9時過ぎに病院から電話がはいった。母が出て話を聞いている。幸いにもウインディは麻酔にも手術にも耐え抜いて一応無事終了したという知らせだった。慌てて病院へ向かった。父も一緒だ。父は、ウインディがかわいらしく、日頃から愛情を注いでいた。ウインディも、もしかしたら父が1番好きだったのかもしれない。診察台の上でウインディは眠っていた。体力的には限界だが、線虫を取りだしたことにより、心臓はずいぶん楽になったはずだといわれた。それだけでも救われる思いだった。麻酔から目覚めるのは夜中になるとのことだったので、明日また会いに来ることにした。 |
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ウインディの心臓から取り出されたフィラリア |
2004.522(土) 朝、息子は部活だったため、主人と娘の3人で病院へ行った。ウインディは無事麻酔から目覚め横になっていた。娘が「ウインディ」と声をかけると、わずかだが顔を向けた。荒かった息も静かになっている。Y先生は「まだ、わからない」と言ったが、私たちは助かってくれるのではないかと思った。それほど、ウインディの様子は穏やかで落ち着いているように見えたのだ。出来るだけ静かにしておいた方がよいということだったので、10分ほどで病院を出た。明日は病院がお休みだそうなので、月曜の夕方会いに来ることにした。 また会えると信じていた・・・・。 |
2004.5.23(日) お昼近くに電話が鳴った。実家の母からだった。今ウインディが息を引き取ったという知らせだった。父が引き取りにいっているという。おう吐による心不全だった。おう吐にさえ耐えられないほど心臓が弱っていたのだ。助かると信じていた私たちは、思いもよらない知らせに、あわてて実家へ駆けつけた。 段ボール箱の中で横になっているウインディはまるで眠っているようだった。触れてみたら、まだ暖かかった。呼べばいつものようにクリクリした瞳で見つめてくれるのではないかと思うほどに、いつもの寝ているウインディだった。でも、決して目覚めることはない。 私は、何度も何度も心の中で、ごめんなさいと謝った。病院の先生も、いつもは厳しいことを言う母も、もちろん家族も、誰一人として私を責める言葉を口にはしなかったが、全て私の責任であることはわかっていた。しかし、私がいくら後悔してもウインディは目覚めない・・・・。 |
| ウインディが死んでから1ヶ月になりますが、今も仕事から帰って車を降りると、フェンスの隙間から顔を出して私を迎えてくれたウインディを捜してしまいます。 何気なく過ごしたウインディとの日々。いくら望んでも戻ってはきません。 |