子供誘拐論 −激動の時代に垣間見た、ある子供の軌跡− | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(2001年8月発表、2022年1月24日2.に注釈を追記) 1.プロローグ 邪神復活の日が刻一刻と近づいていました。 そして、ここフロンティアは世界の中でも特に壊滅的な被害を受けた地域でした。 誘拐事件、モンスターの巣窟、ヴァンパイア被害、ジュエルビースト復活・・・。 多くの事件がフロンティアに住む人々を不幸にしたのです。 そんなある日、ヴァンパイア討伐に成功した冒険者が、その被害にあった村を訪れました。 大人たちは「私がヴァンパイアだったなんて・・・」と、「そんなこと信じられない」、「そんなバカな・・・」といった感情を口にしていました。 そんな中、一人の子供が笑顔で言いました。 「ぼくヴァンパイアになってたんだ!面白かった!」 冒険者は思いました。 大人たちはヴァンパイアに操られ、その意識すら奪われていた感があります。 しかし、この子供はどうでしょうか? 明らかにヴァンパイアの時の記憶があり、その意識もはっきりとしていたようです。 人がヴァンパイアになるシステムははっきりとはわかりませんが、この子供の場合、ヴァンパイアとなって体は操られ暴挙に及んでいても意識ははっきりとしていたようなのです。 そんな子供を前に、冒険者の頭には1つの疑問も残りました。 冒険者は既にその子供を知っていました。 その子供は以前その村で起きた誘拐事件で誘拐された子供だったのです。 そして、救出したのが冒険者本人でした。 だからこそ冒険者は思ったのです。 「この子供・・・いつヴァンパイアになってたんだろう?」 |
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2.子供の発言の疑問点 私のプレイスタイルでは誘拐事件を早々に解決するなんてことはありえません。 つまり、誘拐事件は発生させておけば自動解決されずに最後まで残る善行イベントなので、オールドキャッスル→最終試練に使うために最後まで残しておくからです。 #発表当時は善行イベントについての理解が不十分だったため上記のように記述してありますが、誘拐事件は依頼を受けた段階で善行値+1なので、オールドキャッスル→最終試練に使うことはできません。 よって、このイベントを解決するのは、フロンティアで起こるそれ以外のイベントを全て終了させてからとなります。 #ヴァンパイアも大概残すのですが、弱い固定敵を残せるという点で誘拐を優遇して残す。 ジュエルビーストは勿論、ヴァンパイアなんてとっくの昔に成敗されているのです。 つまり、疑問点はそこです。 ヴァンパイアが猛威を振るった時、その子供はまだ誘拐されていて洞窟の奥底にいたわけです。 それにもかかわらず、どうして子供はヴァンパイアになっていたと言ったのでしょうか? そこで、子供がいつヴァンパイアになったのかを調査してみました。 |
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3.ヴァンパイアとは何か? そもそも子供の言う「ヴァンパイア」とは一体どういう状態をさすのでしょうか? このヴァンパイア現象はサルーインのミニオンに復活させられたヴァンパイアさんが原因で起こった事件です。 ヴァンパイアさんは復活記念に人間達を自分の僕(しもべ)へと変えました。 このヴァンパイアさんの僕になった状態が、ヴァンパイア状態とします。 ヴァンパイア状態になった人々を観察しにヴァンパイアの潜む洞窟に行って来ました。 若い男性、若い女性、幼い女の子、老婆、屈強な兵士・・・ どうやらこの人たちはヴァンパイア状態のようですが、外見上は普通の人間と区別がつきません。 ゆっくりとしたスピードで、冒険者を狙って追ってきます。 また、冒険者が壁の反対側にいて姿が見えなくても存在を察知して追ってきます。 試しに話し掛けてみました。 ・・・・・・・ ダメです。 まともにコンタクトを取ることもできません。 接近しただけで襲いかかってきます。 これはもはや人ではなく、モンスターと言って過言ではないでしょう。 では、次にヴァンパイア状態の人間の能力値を見てみましょう。
パッと見て、これが強いのかどうかという判断はしにくいのですが、シュウさんの理論によれば、個人差はありますが一般人1人分の命はHP50です。 つまり、ヴァンパイア状態になることで常人の3倍もの力を得たわけです。 また、ウエストエンド情報通は「村人が吸血鬼になった」と言っています。 どうやらヴァンパイア状態は吸血鬼のようです。 しかし、ヴァンパイアの僕が吸血している場面を見たことがないので、これの真偽はわかりかねます。 せっかくなので、ヴァンパイアさんの能力についても見てみましょう。
さすが親玉、僕を凌駕する能力値を持っています。 そして、特殊攻撃に「血を吸う」があるのが何気に嬉しいですね。 特筆すべきは「スターファイア」を使うことです。 ロマ1には多くのモンスターが出てきますが、光術法を使用するのはヴァンパイアさん唯一人です。 故に昔は聖職者だったのでは?という憶測も浮かんできますが、その真相は闇の中です。 そして、もう一つヴァンパイアさんの凄さを語っておきます。 それは人間をヴァンパイア状態にする能力についてです。 人間の身体能力には当然個人差があります。 しかし、元が弱々しい少女だろうが、老い先短い老婆だろうが、それとは反対に屈強な兵士だろうが、どんな人間だろうと常人の3倍もの力を与えるその能力はヴァンパイア特有の特殊能力です。 この能力は丁度、土術法「ダイヤモンドウエポン」に似ています。 ダイヤモンドウエポンは元の攻撃力に関係無く、武器をある一定の攻撃力にする術法です。 ヴァンパイアさんのこの能力の裏にはダイヤモンドウエポンの原理が関係しているのかもしれません。 というワケで、ヴァンパイア状態がどういう状態かは分かったと思います。 ここで一番大事なのはヴァンパイア状態の人間とはコンタクトをとることができないということです。 |
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4.ヴァンパイア化の方法は? ところでヴァンパイアの僕はどうやって増えるのでしょうか? やはり吸血鬼らしく血を吸うことで人間をヴァンパイア化させるのでしょうか? ヴァンパイアさん自身も「また我が僕となる者がやってきたようね」と言ってますから、ヴァンパイアさんから直接何かをされることがヴァンパイア化の原因だと思われます。 なのでとりあえず、ここではヴァンパイアさんに吸血されることがヴァンパイア化の原因としておきます。 #直接何かをしない増殖法、例えば空気感染とかだったら、「まだ僕になっていない奴がいたのか」とか言いそうですから。 また、先にも述べた通り、ヴァンパイアの僕が戦闘中に吸血する場面を見たことがありません。 しかしながら、情報通のヴァンパイアの僕=吸血鬼の話もありますから、 ヴァンパイアの僕は実戦では使えないが、仲間を増やすための吸血能力を持っているのかもしれません。 というワケで、ヴァンパイア化するにはヴァンパイア、もしくはヴァンパイアの僕との接触は必要不可欠です。 つまり、呪いのような遠隔術や空気感染etcではヴァンパイア化しないということです。 #後記:大事典に血を吸うことが原因であるとありました。 |
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5.子供はいつヴァンパイア化したのか? ・ヴァンパイア化した人間とのコンタクトは不可能。 ・ヴァンパイア化するにはヴァンパイア、もしくはヴァンパイアの僕との接触は必要不可欠。 この2点を踏まえて考えてみましょう。 まずはヴァンパイアを倒さずに子供を助けに行ってみました。 子供は洞窟の奥で囚われていました。 話し掛けると「助けにきてくれたんだね!」と子供は言います。 つまり、この時点では子供とコンタクトが取れるので、まだヴァンパイア化してないことが分かります。 村に戻るとモンスター襲撃時だったので、母親はいませんでした。 しかし、感謝の言葉だけ聞くことができました。 生霊でしょうか? その後、子供はヴァンパイア化して襲ってきました。 さっきはコンタクトできたのですが、今回はさっぱりダメです。 救出後、母親の感謝の言葉を聞いた後、一旦村から出て入り直さないと子供は姿を現さないのですが、その空白の時間に近辺でヴァンパイアの僕に遭遇したのだと思われます。 ですから、ヴァンパイアを倒す前に誘拐を解決した場合は子供のヴァンパイア化の説明はつきます。 では次に、ヴァンパイアを倒してから子供を助けに行ってみました。 ヴァンパイアを倒すと僕だった人たちは我に帰って「私がヴァンパイアだったなんて…」と呟いています。 どうやらヴァンパイアを倒した時点で、ヴァンパイア化していた人達は正常に戻ったようです。 つまり、ヴァンパイアを倒しているこの時点で、ヴァンパイアもその僕も存在しないことになります。 そして、子供を助けに行きました。 相変わらず「助けにきてくれたんだね!」と子供は言いました。 よって、この時点で子供はヴァンパイア状態ではありません。 また、ヴァンパイア化はヴァンパイアが死なないと解けないとすると、先の調査より捕まっていた時に子供がヴァンパイア状態だったということはありえません。 そして、村に戻ると子供は吼えました。 「ぼくヴァンパイアになってたんだ!面白かった!」 ・・・分かりません。 誘拐されている時にヴァンパイア化することはありえませんし、救出された時には既にヴァンパイアは成敗されているので、子供とヴァンパイア、もしくは僕との接触はありえません。 ヴァンパイア討伐→子供救出の順番では子供のヴァンパイア化の説明はつきません。 この子供は一体何者なのでしょうか? そして、冒険者はこの子供に関するさらなる戦慄する場面を垣間見ることになったのでした。 |
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6.子供、その後… フロンティアに平和な時間が流れていました。 しかし、それも一時の安息に他なりませんでした。 そして、その時は突然訪れました。 再びモンスター達の襲撃が始まったのです。 フロンティアの中心地「ウエストエンド」には以前巣窟で退治したはずの「ジュエルビースト」が闊歩しています。 もはやウエストエンドは壊滅状態でした。 また、ウエストエンド周辺の村々にもモンスターの進行は及んでいました。 冒険者は誘拐事件のあった村に訪れました。 その村もウエストエンドと同様にモンスターが溢れ返っていました。 「これは生存者はいないだろう・・・」と思われたその時、冒険者の目の前には信じられない光景が飛び込んできました。 生存者がいたのです。 それも屈強な戦士ではなく、年端もいかない子供だったのです。 他の村人は一人も確認できませんが、その子供はたった一人でモンスターの暴れまわる村に生存していたのです。 冒険者はすぐに子供のもとに駆け寄りました。 よく見ると、その子供は誘拐されたあの子供でした。 安否を気遣う冒険者の気持ちとは裏腹に、その子供は満面の笑みで答えました。 「ぼくヴァンパイアになってたんだ!面白かった!」 冒険者は、もはや何も言えませんでした。 そんな冒険者を横目に、子供はモンスターに臆することなく村中を駆け回り続けたのでした。 |
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7.誘拐の真相は? ヴァンパイア化に落胆する大人たちとは逆に、その状態を楽しんだ誘拐された子供。 子供はみんなそんなものなのかを調査したいものですが、ヴァンパイア化した人々で接することができる子供は誘拐された子供だけなので真相は不明です。 しかし、ヴァンパイア化していた時には襲い掛かってきたことから、ヴァンパイア時の体の制御はできてなかったと思われます。 一方で、その後の会話から、ヴァンパイア時に意識がはっきりしていたことが伺えます。 また、最もショッキングだったモンスター襲撃時にも平気な顔して村を走り回る誘拐された子供の姿。 モンスターがいるのに、そこで平気な顔して駆け回っている一般人物を私はロマ1では見たことがありません。 この子供にはモンスターを寄せ付けないオーラみたいなものがあるのでしょうか? #誘拐されてるけれど。 もしくは、モンスターは子供に手出しできない理由でもあるのでしょうか? 以上の2点が他の人物には見られない、誘拐された子供だけが持つ異常性です。 あの子供は一体何者なのでしょうか? 何か異質な特別な力を感じずにはいられません。 ですので、この子供が誘拐されたのも、決して行きずりの犯行や、衝動的な犯行ではなく、この子供の潜在能力に気付いたミニオンが後々の計画のために予め捕獲しておいたと考えられないでしょうか? とすると、「あの子供は貴重な存在だ。よって殺してはならない。」というミニオンからの命令のためにモンスターは子供が村に残っていても攻撃ができなかったということが考えられます。 また、活動開始時期が誘拐事件より後だったことや、まさか子供が救出されるなんて思ってなかったことなどが原因で、ヴァンパイアさんには「子供に手出しするな」という命令が行き届いていなかったようです。 #結果として子供の潜在能力の片鱗を垣間見ることができましたが・・・。 |
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8.エピローグ 最後に、ウエストエンドに潜伏していたジュエルビーストを倒すとフロンティアに再び平穏な時間が訪れました。 しかし、村に村人達は帰ってきませんでした。 今ではあの子供が一人で駆け回っているだけです。 あの子供はロマサガ3の死食を生き抜いた子供のように、いずれは聖王、もしくは魔王、あるいは・・・。 あの子供の今後には興味が尽きません。 |