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黒の月、第17の太陽の日

記し人 中位神官長(上位神官)トルヴァン


いやはや、ウチの息子たちも困ったものじゃ。
フェリアスはあれで優しそうに見えて頑固なところがありおりるし、アストリーヌに至っては頑固以前の問題、俗に言う石頭というやつじゃし。
さてさてどうしたものか。いっそのこと、わしの三番目の息子として引き取っても構わんが、この年で赤子の世話はちとツライのも本音だしの。なにせ、あの子はどう見ても乳飲み子。しばらくは数刻おきにミルクをやって、それから解放されたら離乳食づくり。這っている時ならまだしも、歩き出したらもう目が離せないしの。
それにフェリアスを育てるのにも、結構苦労したしな、わし―――。
あいつは今でこそ、それなりな人物になってはおるが、その昔はそれはもう手を焼かされたものじゃ。それでも早くに亡くなった妻に言わせれば、男の子にしては優しくて手がかからないと言っておったからの。
フェリアスを基準値にしてもわしには荷が重そうじゃ。フェリアスよりも物静かな子に育つ可能性もあるがの。

フェリアスがどこまで先を見通して実子にすると言っているかは、わしにも今ひとつ予測不可能なのが、当面の懸念の一つかの。あやつはたまにこちらが見ているよりも、数百年先を視て行動しておることがありおるし。かと思えば、本当にただ感情のままに振舞っておることもしばしばじゃしの。なにせ予想外の行動をしてくれることでは、この館でもピカイチだしの。
アストリーヌは、あれは今回の件に関してはただ自分の感情のままに反対しておるだけだと分かるのがまだしもじゃの。これでアストリーヌも何かを視ての行動なら、館を束ねる者の一人としての対応をせざるをえなくなる。

わしは、どちらの息子も大切なのじゃ。確かにフェリアスは実子で、アストリーヌは養子じゃが、そのような区別をしたことはわしはない。二人ともわしのかわいい、それでいて自慢の息子達じゃ。だから今回のことも何とか双方が納得する形にしてやりたいのがやまやまなのじゃが、如何様にしたものかの?
明日にでもライに相談してみるかの―――。

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