| 黒の月、第18の太陽の日 |
記し人 長ライシド 本日の午後、トルヴァンが相談があると言ってきた。 この時期に私に話したい事と言えば、もうアノ事しかない。正直言って、面会を求める要望があった時は滅入った。何故なら、あいつが言う事のほとんどをすでに分かっていたからに他ならない。 普段、何気ない話しや雑談する時には面会の要望など出さずにさっさと部屋へと乗り込んでくるくせに、こういう時だけは正規の手続きを踏んでくるヤツが腹立たしい。 確かに今回のことは私人としてではなく、公人としての申し立てだったからアイツも分別を付けたのだろうとは理解している。だが、今更私達の間で公私もないだろう! フェリアスやアストリーヌは私にとっても我が子同然なんだぞっ!! 私はこの館の現長だ。それは紛れもない事実で、すでに抗いようのないものとなっているし、この年にもなってそんな往生際の悪いことをいうつもりはない。勿論、トルヴァンは除く、だ。あいつは私に一切合切を押し付けたんだから、死ぬ間際までごねてやる! 自分の存在理由もしかと肝に銘じている。それなのに、時々アイツは、私が館を束ねる長であることを再認識させる。今回のこともそうだ。 トルヴァンは、館の長としての結論を出せと言っている。家族の情ではなく。 だが、今回私は口をだすつもりは全くない。だから私をただの館の長としてのみ扱うなら、お前の相談は聞かないと言った。親として、息子達の仲裁に入れと言った。 ざまを見ろ。私を蚊帳の外に置いた仕返しだ。 私はお前にとって一体何なんだ? お前にとって、ただ都合のいい長でしかないのか? しばらくトルヴァンには会わないでおこう。お茶を飲もうと部屋に入ってきたら仕事が忙しいと言って逃げよう。 本気でしばらくの間で良いから、アイツの顔は見たくない。 |