| 黒の月、第21の太陽の日 |
記し人 長秘書官長(上位神官)ソラル ここ数日の騒ぎは今だ収まる気配はない。それどころか、懸念事項ばかりが増えていく。 そして私にとって一番重要なことは、長のご様子が少しばかり優れないことだ。 先日、正式な手続きを踏んで長に面会を申し込んできたトルヴァン様と何かあったご様子だ。 あの面会の後から、どうも長のご気分が沈みがちになっていらっしゃる。いつもなら余程のことでない限り、そういった面会時にも私が同席するのだが、今回は古くからのご友人でも在られるトルヴァン様であったから席を外したのだが、公式な面会であったのだから同席していた方が良かったのだろうか……? トルヴァン様と何かしらのことがあったようだが、長はトルヴァン様以外には愚痴も零されない気丈なお方なので、不肖な私では愚考することしか出来ない。 それでも、今回は長の方に軍配が上がるだろう。長年、直下で仕えてきた私は当然のことながら長贔屓ではあるが、トルヴァン様のご様子を拝見する限り、失礼ながらトルヴァン様に失言があったようだ。 おそらくは失言と言うよりは、言葉足らずなだけであったと愚考するが、トルヴァン様にも予想外の長の落ち込み方だったようだ。 ここ暫く、トルヴァン様は長とお会いになろうとなさっているが、長は逃げ回っておいでになる。 僭越ながら、私が何とか長とトルヴァン様を取り持とうと画策しても長はその上手をいき、結局はトルヴァン様に無駄足を踏ませたこと数回。 終いにはトルヴァン様から、申し訳ないと頭まで下げられる始末だ。恐縮で言葉も出ない。 もう、これはトルヴァン様に何とかしてもらう以外に手はないようだ。 せめて私は長のスケジュール管理をさせていただこう。お食事と睡眠は何としても取って頂かなければ! 本当はアストリーヌとフェリアスがさっさと仲直りをして、長とトルヴァン様の仲直りに一役買ってもらえれば早いのだが、当面はあの赤子のことで手一杯だろう。仕方ないか……。溜息。 |