今宵のつぶやき
私的感想
no.40 |
『星降り山荘の殺人』 倉知淳 |
早くに犯人の目星が付くのですがどうもそれが上手くない。あくまでもフェアだと言う事だと出した解答がアンフェアになってしまうのです。という事は犯人が間違っている事になる。かなり堂々巡りをして犯人探しを棚上げにしました。最後まで読んでなるほど納得。自分の間抜け加減に気付きました。たしかにフェアですよね・・・(多少の怒りを込めて)。騙されるところだった。内容はスターウォッチャーなる怪しい職業やUFO研究家と変な登場人物ばかりで愉しめました。特にスターウォッチャーのなさるお話はお尻がモゾモゾしそうというか背筋に悪寒が走るというか・・・でした。甘い言葉はどうも苦手です。 |
no.39 |
『バトル・ロワイヤル』 高見広春 |
読んで良かったと進められて読んでみました。うぅ〜〜。唸るしかなかった。暴力とは無縁で過ごしてきたのでかなりの衝撃がありました。未だに格闘技やプロレスなどをスポーツとわかっていても人が傷つく姿を見るのが耐えられないので見る事がありません。そんなですから、ゲームという名の殺し合いに憤りを覚えました。人物が細かく描写されているので尚更読んでいて何で、どうしてといった言葉ばかりがつい口から漏れました。閉鎖された空間の中でやらなければ自分がやられてしまうという状況は判断能力を無くすものだとは思います。人を仲間を信じる事は並大抵なことではないですから些細なことで信じる気持ちを無くしてしまいます。人が人を殺める事がどういう事なのかを問うているのでしょうか?それとも自分しか信じられなくなっていく人の浅ましさを問うているのでしょうか?ラストまで無限地獄のような話でした。ついでに私は『バトル・ロワイアル』が何かまるで知りませんでした。 |
no.38 |
『迷宮Labyrinth』 倉阪鬼一郎 |
書名そのモノの作品でした。読んでいて夢野久作氏の作品を思い出しました。狂気と正気の境はどこなのでしょう。人はみな迷宮を持っているのではないのかなぁ。自己防御が働いているから自分の持つ迷宮に踏み込む事はないのかも知れませんが日によって躁の日もあれば、鬱の日もある。そんなに深みに嵌ることなく脱出している気がします。同じ状態でいつもいる事の方が難しいと思うのです。この作品に登場する人物は自己の迷宮に深く足を入れ過ぎて、出口を間違え狂気に陥ったように思えました。何がそうさせたのでしょうか?地位・名誉・血筋・生活環境・地域社会・・・・。ボタンの掛け違いが狂気を呼び覚まし、迷宮へと扉を開けてしまったのかもしれません。アリアドネの糸はどこにもなかったのでしょうか? 作中作が幾つか登場します。その中で紅の書いた短編はホントに幻想的な作品でした。変な譬えなのですが一人の人物が一つの迷宮を持ちそれを一枚のパイ皮に考え、それが幾層にも重なり合い一つの大きな迷宮が出来あがってしまい、それが皿沼病院というカタチで現れたような気がしました。 |
no.37 |
『白銀荘の殺人鬼』 彩胡ジュン |
一体誰なんだろう・・・。二人の著名な作家の方が合作覆面でこの作品を書かれました。クイズになっているのですが難しい。偏った読書ばかりしていますからそんなに詳しい訳がない。それでも挑戦。作品そのモノは面白かった。多重人格がKeyとなっていて最初から犯人が誰か判ってしまう。ところがそんなに簡単には終わらせていないのですよね。事件そのモノやトリックなど奇を衒ってはいないのですが作者の仕掛けに引っ掛ってしまいました。途中で思い立って読み返し。最後まで到達した時に『やはり、そういう事だったのね』と思ったのにも拘わらず、もう一度読む?!と自分に尋ねたくなりました。私のような間抜けな読者でなければ引っ掛らないのかなぁ? でもたぶん読み返す羽目になるような気がするのですが・・・。ホントに『あの△△』はどこに出てくるんだ?!と考えたのは私だけではないと思うのでけれど・・・。最終的に作家が判ったかと言うとさっぱり。願望からかどうしても某氏が浮ぶ。誰かに聞いてもらいたいのですがここで書くのは失礼ですよね・・・。 |
後日談:彩胡ジュンの作者が発表されました。二階堂黎人氏と愛川晶氏のお二人。 |
no.36 |
『女王の百年密室』 森博嗣 |
短編集の中にあった雰囲気を長編で読んだ感じがしました。読み始めたとき少しだけ途惑いを覚えましたが最後は切なくて泣けてきました。死のない街に隠された真実はあまりにも哀しい。住む人々はそこを楽園と思い、日々過ごしている。外から来た者にとっては?街には独自のルールがあり、守り受け入れる事が出来れば良いでしょうが今まで自分が存在していた生活空間との違いはあまりにも大きい。犯罪を取り締まる機構もなく、犯罪そのモノもないように思えた街で起こる殺人?!人が人を裁く事は出来ない。決めるのは『神』。では『神』とは?・・・。何を見つめ、信じるかにより同じモノを見つめていても出す答えは異なる。万人が認める正解などありはしない。それでも何かを求めて自分の信じる道を歩む。読んでいてそんな事を考えました。ミチルとロイディの関係に人は誰かに支えられて生きているという事の縮図を見た気がしました。 |
no.35 |
『真っ暗な夜明け』 氷川透 |
本筋とはあまり関係ないのですが音楽論(?)が面白い。常日頃気になっていた事が一気に解決した感じでした。つい相槌を打ちながら読んでしまいました。本筋の方も読みどころが散りばめられて良かったです。特にインターネットに関しては最近身近な存在なので再確認とお勉強という感じでした。 |
no.34 |
『夢・出逢い・魔性』 森博嗣 |
この書名には参りました。字を見る限りでは気付かなかったのですが音にしてみるとよく私が使う言葉なので笑ってしましました。 |
no.33 |
『月の裏側』 恩田陸 |
幻冬舎にお願いしたいですよ。あの帯止めてくれないかなぁ。本文の大事な部分に触れ過ぎな気がしてなりませんでした。今回のこの作品は今までのモノとは少し違う気がしました。梅雨時の今に読むのはかなり怖いです。 |
no.32 |
『大年神が彷徨う島』 藤木凛 |
律ちゃん頑張る編かなぁ。島という隔離された地域社会での独自の神事が不幸を招くと言えばいいのか?一族が取仕切り他方を排除して近親婚が繰り返され、その結果が聖痕を持つ生き仏の証とは・・・。哀しい話でした。一生を閉じ込められて過ごすであろう家族を救いたいが為に罪を犯し、それが大きな渦となり闇に取込まれてしまう。そして自分をも消し去る事になる。他に手立てはなかったのかと思わずにはいられませんでした。 |
no.31 |
『ifの迷宮』 柄刀一 |
時間設定が今より少し先の話なのですけれど、有り得る未来のように思えてなりませんでした。話の流れの中で遺伝子治療の事や出産前診断といった人の生について述べられています。面白いというよりすごく考えてしまいました。事実ではないにも関わらず。女として生を受けているのでいつの日か子供を産むなどという事があるかもしれません。そう考えた時に、とても怖かった。人はどこまで自然の摂理に反していくのでしょう・・・。知的障害があるから排除、先天性疾患があるからとそれも排除・・・。もともと私自信が懐疑的である事も加味されるのでしょうが人間はどこまでやるのかと常々思っていますし、色々な治療法が試されている昨今それは人の手が触れて良い領域なのかと考える事も暫しあります。重度の障害や病気を患う人にはとても失礼に当たるかもしれませんし、元気であるからそんな事を考え、言えるのだと怒られるかもしれませんが、人間だけが延命への道を辿っているような気がします。決められた時間の中で一生を終えてはいないのではないかと思えてなりません。正しいのか正しくないのかといった事ではなく、いつの日か付けを払う時が来るのではないかとも思えて・・・。人間のクローンが登場しないとは言いきれず、ある日自分と同じ顔若しくは遺伝子を持った人物が登場したならかなり怖い。出産前診断が当たり前で親が診断を下す、物言えぬ者や存在が曖昧な者には権利はないの?出産後に何かしらの問題を抱え捨てられるより良いという事かもしれません。だけれど何か違うようで・・・。よくわからないからグルグル廻ってしまっている。差別はどこから始まるのか判らない。時代、時代で価値感が変わる世の中。今ある差別が未来永劫続くとは限らず、逆転する事もあるかもしれないのに、なぜ未来も今ここにあると思えるのかなぁ?いろんなことが切ない本でした。知的障害者には純真で天使のようである事が多いと聞きます。その笑顔で救われ、教えられる事もたくさんあると。世の中は雑音が多すぎるのでしょうね。一人では生きられないから人に迎合する事が多々あるし、自分だけが反対できないという立場や社会情勢もあるでしょうが多数派がいつも正しいとは限らないのではないでしょうか。少数の中に真実が隠されている事もある筈なのに多数派層に流れ勝ちになり真実を見え難くしている気がします。時代で正しいさの変化する世の中で「何が一番大切か」「何を見失ってはいけないのか」と自分に問いたくなりました。なんだかミステリィとは違う部分で凄く考えてしまいました。 |