今宵のつぶやき

私的感想

no.110

『溺れる魚』 戸梶圭太

警察の不祥事が次々に表沙汰になっているので、実際こんな警察官や機構があるのかもしれないと少し思ってしまいました。事件の目的が人を殺害する事ではなく、復讐ではあるものの、変な格好をさせて街中を歩かせるという脅迫には笑えました。脅迫を無視した場合の実害の方は笑えないです。経験としてあの機械の事を良く知っていましたので尚更、怖いと思いました。それに会社はどうでも良いけれど、記念写真をダメにされた人はたまらないでしょうね。登場する警察関係者がかなり変な人だらけ、その妙な人たちの活躍振りがまた妙だったりするので気が付いた時は読み終えていました。確かこの作品は映画化されているのでちょっと観てみたい気がします。

 

no.109

『私が捜した少年』 二階堂黎人

久し振りに読みながら笑ってしまいました。冒頭の自称私立探偵という主人公の独白からまさかねぇ〜。数行読み進めるうちに若しかしてとその事に気付いたのですが本人が登場した時は予期していたにも関わらず、大爆笑してしまいました。捜査する事件も微笑ましいモノと殺人に発展した事件とがあり、その辺も面白かったです。この自称私立探偵渋柿でぜひ他の作品も読んでみたいと思いました。

 

no.108

『美貌の帳』 篠田真由美

シリーズの中で一番気に入っている作品かもしれません。誰しも老い、美しかったものも無残な様相を呈します。しかし、見掛けが全てではないと思います。必ずしも実体と一致するわけではないというにも関わらず、人は見掛けで判断し易いです。老いて尚美しいと思えるのはその人の生き方次第のように思います。今回のこの作品は一昔前の絶世を風靡し、引退した女優が老いて再び舞台に登場します。彼女の語る美に対する考え方はとても素敵だと思いますし、理解して欲しい人に理解されない事が哀しくも思いました。

 

no.107

『原罪の庭』 篠田真由美

とっても重いものを背負っていた。今までも時々不安な表情を見せてはいた蒼くんでしたが、明るい印象の方が強かったので、まさかこんな過去が繰り出されるとは思いも寄らなかったです。衝撃の大きい作品でした。蒼くんでこれですと京介の抱えている過去はどんなものなのかと思ってしまいました。

 

no.106

『灰色の砦』 篠田真由美

すれ違い、思い違い、そんなものが長い年月掛けて巨大な憎しみに変わる。人に向ける筈でなかったものが、些細な切っ掛けで発動してしまう。全てはその時々で解決するべきものを先延ばしにした為だったのでしょうか?

 

no.105

『翡翠の城』 篠田真由美

人の記憶や思い出は時に真実とは違う姿を見せる。長い年月や些細な出来事で記憶や思い出は改竄され、自分の信じる姿に変えてしまう。自分だけの心の中で済んでしまう事ならば、それはそれでよいのかもしれない。けれど、それが家族や他人にまで影響を及ぼす事となると話は違ってしまうのでしょう。何かのカタチで真実を伝え合えていれば、不幸は生まれなかったのかもしれない。ただ、ひとつの事にそれぞれが執着した結果だったのでしょうか?

 

no.104

『玄き女神』 篠田真由美

とても強く深く愛していたからその悲劇が起こったのでしょう。思い違いがまた違う思い違いを生む。10年後に解かれた真実はそんな感じがしました。時間を経てまで真実が知りたいと思い、インドで過ごした部屋に似せて作られた部屋。今の自分の生活状況を打開する為にと、嫌々と招待を受ける古い仲間。蓋をしていた過去が現在に現れた時、新たな悲劇がまた生まれる。拠り所を無くした者の末路はあまりに哀しいと思いましたが、本人はそれでも倖わせなのかもしれない。

 

no.103

『未明の家』 篠田真由美

建築探偵シリーズここに開幕。建物から建てた者の意志を読み取る。探偵本人は建物について調べたいだけのようであるし、探偵でありたいと思ってもいないようなのに、嫌でも事件に巻き込まれていく。変わった探偵モノのような気がします。事件の解明より建物から読み解いた人物像の方に興味が大きかったように思いました。

 

no.102

『血食』 物集高音 

家紋から系図を辿り、確信に触れていく。今まで読んできたものとは一風違った探偵の登場です。これが随分と面白い。家紋は知っていても、意味するところは知らない事が多いのでなるほどと唸ってしまいましたし、自分の家の家紋を調べてみたくなりました。次回作があるならぜひ読んでみたいとも思います。読みながら京極氏の作品とどこか似ている感じがしました。たぶん、探偵役と物書きという役どころのせいなのと時代設定が近い(とは言っても昭和初期と戦後の差はあるのですが)せいなのかなぁ〜とも思いました。

 

no.101

『コズミック』 清涼院流水

薦められていた清涼院氏のデビュー作。ノベルズ版を読むか、文庫本版を読むか悩みましたが最初の形でと思い、ノベルズ版で読みました。なんとも不思議というのか、奇天烈というのか。冒頭から驚かされました。『1200の密室で1200人が殺される』といった犯罪予告状。1200もの密室が一体どんな風に現れるのかと思いました。密室の状況を読んだ時、あまりの密室に言葉がでませんでした。これも密室だったのね・・・という感じでしょうか。しかも、それだけには止まらず、犯人が判明した時にはもっと驚かされました。今まで読んできた推理小説とはまるで違うものなのだと思いました。九十九十九の彩紋家事件と海外での切り裂きジャック事件がとても気になるのですが・・・。