今宵のつぶやき

私的感想

no.120

『夏の夜の夢は幽けし』 椹野道流

オカルトと言えば、オカルトなのでしょうが怖いというより、昭和初期の文豪の達の交流がとても心地よいと言う感じがしました。それぞれが色んな悩みを抱え、生と死の狭間を足掻き苦しみながら生きている。そんな中で、怪異を打開すべく、手と手をとって立ち向かってみるとそこに現れたのはとても悲哀に満ちた事でした。それが切なかったです。

 

no.119

『黒死館殺人』 小栗虫太郎

思い出したように再読しましたが途中で挫折しそうになりました。面白かったかと聞かれると答えるのにつまりそうです。ルビ振り漢字のオンパレードで頭の中はグルグル。何がなんだか・・・。四大ミステリーの一つである名作なのでしょうが正直、文字を追いかけるのが大変で内容が自分の中に入ってこない。博識を披露しての探偵の推理もなぜか感動できないませんでした。これは作品の質以前に、私自身の読解力や文字への不慣れさが最大の問題点である事が判明した作品。前に読んだ時も、難しくて途中で挫折、今回は最後までは読めたものの、読めただけ。いつかもう一度、読み直したら凄さがわかるのかな?!

 

no.118

『覆面作家は二人いる』 北村薫

>門を一歩出ると別人格。この内と外の人格の差が笑えると言うのか、なんと言うのか・・・。すっかり、振り回されてしまう編集者は無残ですがそれを愉しんでいる部分もあるようでよいのかしらね。双子の兄が出てきたのには笑いました。この先、彼らの人間関係がどうなるのか、ちょっと気になるかな。とても気軽に読める一冊。

 

no.117

『MAIZ』 恩田陸

結局どういう事だったのだろう? というのが読み終えたときに思った事でした。別段、解り難いという事でもないのですけれど、過去の説話や噂と現代の中での策謀(?)が絡んでいるようないないような。頼まれた推理はきちんと解いているものの、何のために必要だったのかが皆目検討がつきませんでした。面白かったのだけれど、なんだかすっきりしないのはなぜなのでしょうか?

 

no.116

『秘密屋白』 清涼院流水 

赤はわりと面白く読んだのだけれど、こちらはちょっと苦手な感じでした。話が面白くないという事ではなく、登場人物の話す言葉遣いが読み慣れないせいか、聞きなれないせいか、読み心地が良くない。それが最後まで付いて回って、作品の面白さを味わえなかったような気がします。

 

no.115

『秘密屋赤』 清涼院流水

前に『都市伝説』の話を聞いていなかったら、もっと吃驚したのかしらと思いました。最近まで『都市伝説』というものを知りませんでした。登場人物が本当の話と言って聞いた話が後で『都市伝説』だったのだと判明して、興味を持ち、調べ始めると言った話なのだけれど。尾ひれの付き方や彎曲のされ方が面白かったかな。

 

no.114

『倒錯のロンド』 折原一

なんだか、凄いの一言に尽きるのかも。思った事が次の時には逆転し、逆転したものがまた更に逆転とその繰り返し。読んでいるうちに、下手をするとどっちがどっちかわからなくなり、煙に撒かれてしまいそうになりました。

 

no.113

『本所深川ふしぎ草紙』 宮部みゆき

七不思議と下町に生きる人たちが絡んでなんとも言えぬ味わいを醸し出していて力を抜いて読めました。登場する岡引の親分がまた人情味溢れていて良い。怪異ではあるのでしょうが怖いといった類ではなく、物悲しさであったり、教訓めいていたりと様々。それが心を打つのかしらと思いました。

 

no.112

『ハサミ男』 殊能将之

この怪しい書名を見た時、手前勝手に想像してしまって手に取る事が出来なかった1冊だったりします。けれど、噂だけはやたら目にする、耳にするにつけて気になる作家に。実際、読んでみてどうだったかと言うと”危うく、騙されそうだったわ”というのが正直な感想。まずは題名からして騙さていたもの。内容も最後まで、自分の最初の印象を保つ事がとても難しくて、推理(?)を翻そうと思いつつ、ここで曲げてはと突き進んで、やっぱりと思いました。最後の1頁まで気が抜けない話だったような気がします。まさか最後があんな風になるとは予測も出来なかったわ。

 

no.111

『黒祠の島』 小野不由美

古くからの習わしは時代と共に失われてしまう事の方がきっと多いのだと思う。けれど、孤島である事が古い因習をそのままに残す事があるのだとも思う。でも、どんなに閉じられた事でも、完全なる外界から交流を断たない限り、変わらないものはやはり無いのだと思いました。外に出したものを呼び戻した時、開かない筈の扉が開いたということなのかもしれません。