誕生日
マルク・シャガール |
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生徒がグループですすめる鑑賞
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鑑賞授業の第2回です。今回の授業の要点は、「Q&A」を使って生徒だけで、鑑賞を進めていくことです。
授業は、次の2つの部分に分かれています。まず、授業のすすめ方について説明した後、
| 1 Q(A)をつくる ・・・・ |
この段階は第1回同様に個人で進めます。
作品をよくみて「気づいたこと、感じたこと、考えたこと」を質問と回答のかたちにします。
ワークシート2-Aか2-Bに記入します。(実施はB4サイズの古い形式=鑑賞文欄が小さい、Qは7つ) |
| 2 グループでQ&A ・ |
順番にQを出して、複数の友達からAをもらいワークシートに記入、最後に自分のAを言います。
よいQを選んで、グループの代表が発表します。(時間により発表は省略)
この作品についての最終的なまとめの鑑賞文を書いて提出します。 |
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進行の要点
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第2回の目標は、生徒だけで鑑賞活動が進んでいく体験をして、鑑賞の方法を知るすることです。そのために考えておくことが、いくつかあります。
1 作品の選択
この作品を第2回に選んでいるのは、複数の人物がはっきりと描かれて、第1回のキリコより、画面が複雑になっているからです。この作品の主題が、男女の愛だとすれば、1年生にはちょっと難しいかと思いながらも続けています。
他にアンリ・ルソーの「蛇遣いの女」や「眠れるジプシー女」などを使うこともあります。
授業の目標は、鑑賞活動の方法を体験して学ぶことです。作品は、生徒の興味を引くもので、段階的に新しい鑑賞活動を体験できるものであれば、様々な選択が可能です.。
今は、ここに扱った作品よりも、もう少し広く、傾向の異なった作品があった方がいいと思っています。さらに鑑賞の対象を、デザインや工芸、写真、アニメ、文化財といった領域や、時代や地域に関しても、もう少し幅を広げたい、と思いつつやっているのが現状です。
2 グループのつくりかた
Q&Aの交換をするグループつくりは、この作品の場合、3人または4人で自由に編成してよいことにしています。その方がのびのびと進むためです。だいたい1年生では男女別のグループになります。作品によっては、男女混合で指定して班を組むこともあります。人数は2人だと、言い合うだけで「もう一つの考え」を聞くことができません。5人では多すぎて、短時間ではたくさんのQを扱えません。
3 Q&A鑑賞で、よくおきる問題
グループによっては、ワークシートを回覧して記入する方法を「発明」することがあります。
効率よく進行するにはいい方法ですが、試験問題を解くような感じになってしまいます。ケイタイのメールでコミュニケーションする生徒たちにとっては、この方がいいのかもしれません。検討の余地はあるのですが今のところ、うまく言えなくても表現すること、相手の発言を聞き取って要約し記録することが、自分の鑑賞を深めていく上で役立つと思うことを伝えて、方法を変えさせています。
もう一つは「ウケねらい」についての注意が必要です。
どうしてもおもしろいことを思いついてしまって、いいたくなる生徒がいます。これを強く禁止すると、鑑賞が萎縮してしまいます。「なぜそう思うのか?」「作品のどこからわかるか?」という根拠を考えさせることで「ウケねらい」であったことを、自覚させていくことが効果的なようです。誠実に真剣にQ&Aを進める楽しさを体験していくと、次第に少なくなっていきます。
最初のうちは、友達の意見に安易に同調してしまって、自分の鑑賞を言いたがらない、または鑑賞をしようとしない生徒もいます。これも、少しずつ直っていきます。
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グループでQ&Aをしてみると
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1 Qは学習できること
第1回の鑑賞で経験した4つのQを、今回の作品に当てはめてみる生徒がかなりいます。とりあえずやってみるということでしょうが、場所や時間に関するQは、具象的な絵画ならばかなり効果があるわけで、これはQが学習されうることを体験することになります。これが進んで、生徒間でQ&Aを進める中で、他の生徒からよいQを学び、自分のものにできるようになるといいと思っています。
2 Q&Aをつくる
生徒がつくるQの数は、下の表に示したようになりました。この集計をとった時点では、たくさんのQをつくることを目標にしていたので、ワークシートの作成欄は7つありました。用紙もB4サイズで、多くつくることと詳しく記入することを促していました。現在は、記入にかける時間を減らすことを考えて、用紙はA4サイズにして、作成欄も5つほどに減らしています。反対に、この時点で使っていたワークシートにはAの根拠や理由を書く「なぜならば」という欄は作っていませんでした。表は1年生177名の集計です。
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3 Q&Aの交換
第2回では作業手順の説明に時間がかかるので、50分の授業の中で、Q&Aに当てる時間は15~20分程度が精一杯ですが、最初はとまどっている生徒も、しだいにのってきます。この回でのQ&Aの内容は、描かれたものを確かめる「これは何?」という問いが中心になります。ワークシートの記入とQ&Aの交換は,、かなり忙しい作業です。同じ方法を使って回数を重ねることで、慣れてうまく運ぶようになっていきます。
4 印象に残ったQやAを選ぶ 最終的な鑑賞文
全体的な印象から感想を持つことができる生徒や、描かれた「もの」や「こと」を手がかりに、状況を物語ることができる生徒もいます。Q&A交換の体験の楽しさを書いてくれる生徒や、自分と全くちがう友達の鑑賞に驚いたことを書く生徒もいます。時間がとれずに授業の最後に5分程度で行うので、鑑賞文を優先に書いて、印象に残ったQやAは記入できないことが多くなってしまいます。
最終的あ感想には以下のようなものがありました。
この絵を見て、とても不思議な絵だなぁと思った。
そして、きっと二人は自分の身に何が起こったのか分からず、1分後あぜんとしているのだと思う。 |
私はこの絵の出来事がおこる前が知りたいです。
そしてこの絵の中の空かんはとても不思議だと思います |
・この絵にうつっているひとは人じゃないと思う。
・いろいろな見え方ができてとてもいい作品だと思う。 |
この絵が、何を伝えたいのか、よく分かりません。
だから、何を伝えたいのか知りたいし、どうしたら伝えたいことが分かるかを知りたいです。 |
| ほんとうは、みえないせかいのことをかいているので おもしろいと思った |
なんかせつないかんじがする。
男の人は女の人に恋をしていたと思う!! |
この作品は女の人のさみしさみたいな感じの絵なのかなと思いました。
恋人に先だたれたさみしさっぽい感じだと私は思いました。 |
まだ、鑑賞文を十分にまとめることは難しいようですが、この授業の流れを体験して、鑑賞活動を知ることができたようです。
友達とのQ&Aも少しずつ、できるようになっていきます。
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