スピーカー製作において

優秀な技術屋が最良の音質を得るために必要不可欠な事

人間の聴覚は、高域特性で16000HZ位しか聞こえないため17000HZ以上の高音域は不要だと考えている方がいる。スピーカー作りで、音の質を決定付ける事で重要な要素は倍音だ。倍音とは、基音の上に乗っかっている細かい周波数成分の事である。
 
例えば良い音が出るスピーカーを作りたいと考え、仮に3WAYでウーハー、スコーカー、ツイーターが有り単純にそれぞれのユニットが低域、中域、高域が出せれば良いのでは無く、音質の解かった優秀な技術屋だと、ウーハーであれば低域だけでは無く、よりピュアな中域を出す事。マス(振動板質量mo)が大きい為、音の立ち上がり、立下りに於いてよりマスが小さいスコーカー、ツイーターに追いつく様考慮する必要性が有る。そしてスコーカーでも、中域だけでは無くウーハーの基音の上に乗っかっている倍音を如何に細かく再生するか、そしてツイーターに付いても然りで、単に高域だけで無くスコーカーの出した基音に細かく、倍音を乗せる事が出来るかに音の優劣が掛かっている。

 スピーカーシステムに於いて、音の質のつながりが最重要ポイントに他ならない。その為には単にf 特(周波数特性)を伸ばすだけで無く、エネルギー・レスポンス(過度応答)が良い事が重要だ。単にf特を伸ばす為に音質に関係無く、ツイーターを追加すれば良い訳で無い。例えれば、ギターの弦が切れたからウクレレの弦を代用する訳には行かないのと同じだ。私は再生音に於いて、より自然界の音に近付ける為には出来れば、高域に20000HZの1オクターブ以上、つまり40000HZ~50000HZは必要だとの認識だ。
 特定の周波数での引っ掛かり(ピーク、ディップ、歪み)が極力少なく、基音にうまく乗っかり倍音再生の出来る音色の片寄りの無い(ソースにより自由自在に反応を示す)スピーカーシステムを目指そうとすると、必然的によりワイドレンジ(十分なる周波数キャパシティー)、クイックレスポンスを求める事となる。
※ちなみにTAD R-1のf特は、21HZ~100000HZ(-10db)である。