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死人探し屋ー携帯電話
 次の日。
 俺はいつものように徒歩5分の所にあるボディーガード派遣会社に出勤した。
 今日は昨日仕事依頼してきた人物との対談がある。
「おはようございます、主任」
「おはようございまーす、主任」
「おはよう、みんな」
 一応、俺は主任として一つの部署を任せられている。
 オフィスに入ると最初にする事は挨拶だ。
 挨拶は一番の基本である。
「主任、依頼人の多川さんがお待ちしてますよ」
「え、もう来てるのか?」
「はい。5分前に」
 それを早く言ってくれ。
 俺は早歩きで応接室に向かった。
 ここの社員はどうものんびりしている人間が多い。
 応接室に入ると、50代前半の強ばった顔つきの男性がソファーに座っていた。
「すみません、大変お待たせしました」
「いやいや、私が勝手に約束の時間より早く来たんだ。こちらこそすまない」
 この多川氏は依頼によると四六時中何者かに監視されていると言う。
 監視だけでなく、3日前程から偶然とは考えられない事故が多発しているらしい。
「それは一体どのような事故なんでしょうか」
「上から物が落ちてくる事が多いが、時々私の目の前を車が突っ込んでくる事さえある程だ。
安心して仕事すら出来ない」
「警察にはその事は?」
「いや、ちょっと事情があってね。だからここに来たんだよ」
 事情か。
 何となく思っていたが、多川氏はやや不審な感じがある。
 何より、先程から多川氏の背後に黒い影が見える。
 猫や父程ではないが、俺にも多少の霊感がある。
 このような人物を見ると大抵奇妙な影を背後に見る事がある。
 自動的にやっかいな人物と言う事になる。
 とりあえず、必要事項を書類に書いて貰い、明日から警護を始める事にした。
「それじゃ、よろしく頼むよ」
「はい、お任せ下さい」
 多川氏が外に出て会社前にある黒塗りの車に乗る姿を窓から見た。
 黒塗りの高級車。
 その手の人種が好む車のスタイルだな。
「主任、気になるんですか?」
「ああ、少しな」
「主任の勘は当たりますからね〜」
「多川さんの警護は誰がやりますか?」
 そう言われてオフィス内を見渡してみた。
 このオフィスには社員が16名いる。
 その中でボディーガードは俺を入れて12名。
 タイミング悪く、12名の内10名が現在団体の警護に当たっている。
「俺がやろう」