鳥海山
ちょうかいさん
| 2,236b | 2002.06.28 |
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| 象潟を過ぎ、鳥海スカイラインを走って鉾立登山口に着いたのは14時を過ぎていた。鉾立から日帰りの予定で鳥海山を登るので、明日の登山に備え、登山口を確認、すぐ先の大平荘に泊まる。大平荘は、写真を取りに来たという御夫婦と私達夫婦の二組だけで、山開き前の宿はとても静か。ここのお風呂は鳥海山の沢の残雪をつかっているそうで、湯量たっぷりのお風呂でとても気持ちが良い。まだ残雪が多いようだ。
大平荘4:30分出発。7〜8分で鉾立登山口に着く。広い鉾立駐車場には5〜6台の車が駐車しているが、登山者ではないようだ。4:56分登山口スタートする。よく整備された登山道を進んでいくと展望台があるので、その石段を上がってみる。足下には切れ落ちた渓谷で、その上の遙か遠くに鳥海山が立っていた。丁度、昇ってきた朝日に鳥海山は輝いて、浮き上がって見える。その鳥海山の頂きはずーと遠く手の届かない距離に思え、本当に4〜5時間歩いただけで山頂に着くのだろうか。輝く鳥海山の頂を眺め、石を敷き詰めた広い道を30分程歩くと雪渓にぶつかった。 |
| 雪渓を行く | ハクサンイチゲと鳥海湖 |
| 緩やかな雪渓歩きとなる。雪渓は長く続いている。途中、ポールが立っていて、下る→があり、
階段が刻んである。 そこを下ると「サイの河原」に出た。サイの河原は雪溶け水がシャバシャバで、
春の小川のように水は流れ、登山道は二手に分かれている。このままシャバシャバ道を進み、
沢を渡り、広くのびやかなチシマザサの中を急登し、御浜に着く。閉鎖している御浜小屋の前を通り抜け、
回り込むといきなりハクサンイチゲの群落が現れた。そして右に鳥海湖、正面には流れる雲の間から鳥海山山頂が見える。
朝、6時半の凛とした空気の中の素晴らしい展望に歓声をあげる。
鳥海湖を見ながら朝食をとる。まだ雪に覆われ、半分はシャーペット状になっている鳥海湖は、 ゆるやかな山稜とドームのような鍋森に囲まれ、そして遠望に月山がある。 足元には揺れるハクサンイチゲのお花畑で、見事な景色に息を飲む思いだ。透き通った景色に見とれ、 手にしたおにぎりもなかなかなくならず、音のない世界に、夫との会話も途絶えがちになる。 雲の流れが激しく、瞬く間に移り変わってゆく空や雲の美しさ、やさしい朝の日の光に鳥海山の山肌もコロコロと変化して、 この絶景に、山頂に立たなくて良いからここにずーといたい気持ちになる。 |
| 扇子森からの鳥海山 | 千蛇谷の雪渓 |
| 扇子森の砂礫を歩き、御田ガ原を進む。イチゲに代わってミヤマキンバイやヨツバシオガマ、イワベンケイの花々の群落が続く。
鳥海山はいよいよ大きく、どっしりと正面にあり、緩やかな山上の楽園の登山道を行く。やがて、登りになって七五三掛に出た。
ここは千蛇谷コースと外輪山コースとの分岐点で、うっかりすると見過ごしそう。壊れた標識が落ちていて、
千蛇谷コースへと下る道はすぐ先で曲がっているのか草の陰で見えない。道なりに外輪山コースを進むことにした。ハイマツの尾根道になって、どんどん登る。
千蛇谷の雪渓が見渡せ、蛇行した雪渓は蛇のようだ。新山の大物忌神社の赤い屋根が見え出し、尾根道の両側は又、お花畑になる。傾斜も緩くなり、伏拝岳に着く。
ここは頂上の感じがまるでなく、知らずに通り抜けてしまいそうだ。
お花畑は続く。イワベンケイがこんなに綺麗だったかしらと思うほどみずみずしく艶やかで、 チョウカイフスマやハクサンフウロ、ヨツバシオガマと次々と咲き競う花々を眺め行者岳に着く。ここからは千蛇谷をはさんで新山が目の高さにあり、 岩石の塊に見える鳥海山山頂の迫力が凄い。あたりの景色を楽しみ、そのまま進むと七高山と、鞍部を下って新山へ行く分岐点の大きな標識がある。 新山へ向かう岩に白いペンキで×印が書いてあるが、のぞくと鉄ハシゴがかかっていて危険のようには見えない。 一等三角点のある七高山にも行きたいので、そのまま真っ直ぐに進む。尾根上の岩礫の道を30分位で七高山山頂に到着。 昔はここが山頂だったそうで、新山の方がわずかに5a高いとかで、頂上を新山に譲ったという。 ここから見る鳥海山、新山は頂上まで雪渓でノッペラボウで迫力がない。七高山の一等三角点をタッチしてその新山へと向かう。 |
| 行者岳から鳥海山山頂を見る | 七高山への登り |
| 七高山からちょっと下った所で、七高山の岩礫の急斜面を下る。その先は急な雪渓の登りとなっている。
先程の鞍部から新山に行く予定だったが、ここを下った方が近い。目の前の急な雪渓を登れるかとちょと心配だったが、一応アイゼンは持っていたので、雪渓の登りに向かう。何とかアイゼンを使わないで登る事が出来、
雪渓を横切って行者岳からの道にぶつかり、神社に着いた。鳥海山の山小屋は7月からオープンとのことで、ここもまだしっかりと閉じて居て、 小屋の裏側から新山に向かう。山頂への道は岩石累々たるもので、岩と岩の間を縫うように登る。
大岩の狭間を通り抜け、 岩峰の山頂に10時12分到着する。見渡せど岩石ばかり。でも展望は素晴らしく、狭い山頂で春のような日射しを全身に受け、ふと気が付くと今まで人に会っていない。今日は誰も登ってこないのだろうか。もしかして、天下の鳥海山を夫と二人だけで占領しているなんて!!凄すぎる。贅沢この上もなく、うれしくて山頂でゆっくりしたかったが、20分程休んで下山。 又、大岩をすり抜け、30分かかって大物忌神社小屋に戻る。小屋からは今度は千蛇谷を下ることにした。すぐ長い雪渓を横切り、雪渓沿いのお花畑を下る。 |
| 鳥海山山頂 | 千蛇谷の雪渓を下る |
| 千蛇谷を挟んだ対岸の岩壁上は先程歩いた尾根で、切り立った岩壁が延々と続く。
険しい山肌をみながら、雪渓をはさんで、キンバイやフウロがひろがる草原状の下りを行く。行者岳山頂の標識がかすかに見え、お花畑の中を大手をふって歩いていると、お花が揺れ、岩の向こうに影が動いた。
人だ、登山者だ、ワアー残念、鳥海山を私達のものにしていたのに、
そう思って立ち止まると、向こうも 「やっと人に会った、でも残念だな」
と云ながらニコニコして登ってくる。やっぱり大自然を独り占めには出来ませんでしたとお互いに大笑いする。
30才位の彼は、ところで小屋には自動販売機がありましたかと云う。いきなり下界に引き戻されギャフンの感じ。
この暑さでお水を全部のんでしまったと続けて云う彼に小屋は閉まっていると言う。
困った困ったと云いながら登って行く彼を、雪がたくさんあるので何とかなるかと、見送る。
又、雪渓にぶっかった。登山道は雪渓の脇にあるようだが、そのまま雪渓を下る。広い雪渓の至る所に石が転がっている。 大きな岩もあり、登山道の縁まできている石もある。あの伏拝岳や文珠岳の岸壁から飛んできたのだろうか。 その点々とした石の間を急いで下り、やがて、七五三掛への分岐に来て、左の尾根へと登る。これも目印がないのでそのまま雪渓を下りてしまいそうだ。 尾根上に出て、ミネウスユキ草の群落に出会い、やっぱりお花を眺めながらの登山道は楽しい。 又、鳥海湖とたくさんの高山植物を堪能し、御浜を通過。この時間帯になると写真マニアも登ってくるのか、三脚を立ててシャッターチャンスを狙う人達に会う。 雲が流れ、日の光も変化しているので花の表情も変わって面白い。 登山口近くに咲き乱れるうつぎの花々の中を13時43分登山口に到着。思い切り楽しんだ鳥海山登山で、このまま帰るのが惜しい気持ちだ。 まだ早いので、十六羅漢に立ち寄り、北海道の鰊漁で巨万の富を築いた青山本邸を訪ね、湯の浜温泉に向かった。 明日は月山に登る。 |