岩木山
いわきさん

1,625b 2002.08.26


08:55 八合目登山口 11:04
09:45 岩木山山頂 10:30


今日は快晴。高く、青く、抜けるような青空。長雨が続いたあとのさわやかに吹き抜ける風。 そんな素晴らしい日に私は日本百名山、百番目の岩木山を登った。稜線から山頂へ向かう岩石の斜面を登り、堆積した岩を渡り歩いて、 8合目から50分ほどで山頂に到着。山頂には、10〜12人の人達が、まぶしい程の日の光を受けて休んでおり、 私は一人で山頂標識をなでながら、写真を撮った。 百山目の山は、私一人の登山だった。

御夫婦が写真をおとりしましょうと、声をかけてくれた。二枚ほど、鐘のある山頂で写真を撮っていただき、 津軽海峡の向こうに、松前半島が見える大岩にザックを置いた。八甲田山や岩手山など、素晴らしい展望をぐるりと眺めまわしながら、 私はどうしたらよいものかと、迷っていた。大学ノート二枚ほどの大きさに、”日本百名山完登”と、ワープロで作ってきたのだ。 私は、、思い切って、それをザックから取り出し、カメラを持って、再び、山頂標識にいった。 その時、別の人が声をかけてくれた。”そうなんです。岩木山で百山目なのです”と、私が云うと、 山頂にいた人達がいっせいに振り返り、拍手をしてくださった。

8合目登山口 山頂を見ながら 避難小屋前を通り山頂へ

どうして百山目に岩木山をえらんだのか” ”完登まで何年かかったのか” ”どの山が一番良かったか” 等々、 たくさんの質問を受けて、改めて、私は日本百名山を全部歩いたんだと、大きな喜びが広がってくるのを、感じた。 半月程前に岩木山を登ろうとしたとき暴風雨にあい、出直すことにしたので岩木山だけが残ってしまったのだ。私は百名山を歩くという観念は毛頭なかった。それよりも、山歩き自体あまり好きではなかった。長い間、低血圧と貧血に悩まされ、 朝早く起きるのも苦手だったし、荷物をもつのもイヤだったし、何よりも、きたないところに座ったり、横になったりする事じたい、 鳥肌がたつ思いだった。53才の時、夫が誘ってくれた山をしぶしぶ歩き、樽前山や余市岳、札幌岳等の札幌近郊の山を歩いて、 大雪山の黒岳を登った時、私はびっくりした。

太陽の光を全身で浴び、さわやかな風に導かれ、大自然の中に入ってゆく、大きな自然に感動した。 そして、私は今まで天気の良い日になにをしていたのだろうと、家で雑用に追われていた日々を本当に勿体なく思った。 それからの私は大変身。積極的に山々を歩き、今まで、冷たい目線で夫の山登りを眺めていたのが、 ”あの山にいこう、ここに行こう” と地図を引っ張り出すのも私になった。折角だから良い山を登りたいと歩き始めて、気が付いたら日本百名山を3/1位歩いていた。 登れる山を一生懸命歩いて、そして、7年8ヶ月目の今日、私は元気に岩木山で百山目を迎えることが出来た。 心身共健康な体になって本当にうれしい。

岩木山山頂で記念撮影 山頂の岩木山奥宮 夕暮れの岩木山


岩木山山頂は思いのほか広い。岩木山奥宮もあって、記念にお守りと手ぬぐいを求め、 無事に百名山完登出来たお礼を述べる。そして、ゆっくり下る。鳥の海噴火口を見ながら、リフト乗り場を過ぎ、 リフト沿いの道をスカイライン八合目へ下る。岩木山神社でお参りして、百沢温泉に入ってから弘前駅に行く予定で、 駐車場でバスを待っていると、目の前に車が止まった。先ほど山頂でお会いした盛岡のSさんで、 通り道だから百沢温泉まで乗せてくださるという。これも何かのご縁と思い、乗せていただくことにした。 嶽温泉を過ぎ、山の話で話題はつきなく、白神山地への分岐で、 白神山地へ行くことに意気投合。

私は白神山地に行ったことがない。Sさんもこれから白神山地へ行こうかどうしょうかと迷っていたそうで、ともかく、 暗門の滝までいこうということになった。美山湖を通り、アクアグリーンビレッジ ANMONの駐車場に車を止め、 暗門大橋を渡ってすぐにブナ林散策路に入る。涼しい風が顔をなで、緩やかなアップダウンの散策道は、じゅうたんのように柔らかで、足の裏に心地よく響く。 何人もの人を追い抜き、若いブナの森を30分程歩き、渓流沿いの道に出て、渓流沿いを進む。 勢いよく流れる水に時々、靴をぬらしながら10分程歩くと暗門の滝に着いた。大勢の人が涼しいしぶきを受けて休んでいて、 この先、第一、第二の滝があるというが、時間もないので戻ることにした。


思いがけない出会いのSさんと弘前公園付近で別れ、公園から夕暮れの岩木山の写真を撮った。 そして、弘前空港に向かうバスの中から、裾野を広げた岩木山の末端に真っ赤な太陽が沈み始め、 黒くなった岩木山のシルエットだけが残るのを、飽くなく眺めた。 こうして、私の日本百名山は無事に終わった。いろいろな人との出会いや、四季折々の素晴らしい自然に感動しながら、 日本中をかけずり回ったような気がする。山だけではなく、それぞれの里の様子や人情や食べ物、 そして麓の個性ある温泉、いろいろなものにふれることができたのは、私にとっては山登り以上に素晴らしい糧で、 すべてからたくさんのエネルギーを頂いた。そして、山登りのおもしろさを教えてくれた夫にも感謝だ。 一つの仕事をなし終えたような気持ちになって、 暗くなった弘前空港から札幌に向かった。