光 岳
てかりだけ

2,591b 2002.07.21


05:30 登山口 11:25
13:22着 光小屋 05:40発
13:38発 光小屋 15:30着
13:53 頂上 15:20


去年、聖岳に登った時、茶臼岳を通ってこの光岳まで縦走する予定であった。生憎、天候が悪く、 聖岳を登っただけで下山してしまった。あの時も飯田から便ガ島の登山口まで遠く、 光岳もあの奥地まで行かなければならないと思うと、 ついつい億劫になってしまう。でも思い切って出かけることにした。 駒ヶ根の友達も一緒に登ることになり、松本空港から駒ヶ根に寄り、上村、下栗に向かう。 下栗から登山口の易老渡までは車で40〜50分なので、登山者の宿泊が多く、民宿は満員であった。 この下栗の里は、急な傾斜地にへばり付くような家々で、日本のチロルと呼ばれているという。 ジャガイモの原種のような、珍しい「にどいも」をご馳走になる。

宿を4:40分出発。山奥のくねくね道を40分程走って易老渡駐車場に着いたが、すでに車が一杯。 戻って、道路脇のスペースを捜して止める。この先の便ガ島が聖岳の登山口になっているので、狭い林道に車は次々とやってくる。 光岳登山口は、この林道から橋を渡った所で、5時30分出発する。 すぐに鬱蒼とした樹林帯に入る。ジグザグの登りが続く。ただひたすらに登るので、汗がポタポタ落ちてくる。 やっと緩やかな広い面平に6時50分着く。 薄暗いひのき林の平坦地は倒木や木の根が多く、登山者があちこちに休んでいる。私達も倒木に腰掛けて休憩する。 深い原始林の冷気が流れてくるようで汗もスーッとひいてくる。面平から易老岳までは3時間の長い急な登りで、 展望もなく、ぐんぐん高度を上げる。

登山口 易老岳山頂 静高平の水飲み場

2時間ぐらい登ると、樹の間から稜線が見え、山のピークに出て一休み。登山口で一緒にスタートした若者も丁度着いて、一緒に休む。 彼は大きなリックからカメラを出して目の前の三角点標石を撮り、ポケットからメジャーを出して標石を計り、 万歩計をだして歩数を記入する。ドラエモンのようなポケットから今度は何をだすのだろう楽しみに眺める。 三角点を調べるのが趣味という彼から、三角点の講義を受ける。 標石の大きさや高さで年代や時代がわかるそうで、ここは三等三角点ですが、ちなみに易老岳山頂は「御料局点標石です」と言う。 皇室用地の旧三角点を御料局点標石という、そんな楽しい勉強会で一緒に易老岳に着いてしまった。易老岳到着10時12分。

易老岳山頂はは茶臼岳からの縦走路で、樹林にかこまれた小さな広場の感じ。早速、御料局の標石を確認。 休憩している10人位の登山者と語らいながら、 易老岳から緩やかな下りを進む。そして明るく開けた倒木や枯れ木の中を通り、三吉ノガレに出る。 このガレの縁から今朝通った林道が見え、 茶臼方面が見える。ここから原始林の中を下り、湿地の脇を抜け、三吉平に着く。そして、針葉樹からダケカンバの登りになって、 明るいガレ状を登り切ると、草原になった。お花がたくさん顔を出し、フウロのピンクが鮮やかだ。高原のような静高平に出た。12時42分到着する。水飲み場に7〜8人の登山者が休んでおり、ここまでくると光小屋までは30分位の行程なので、気持ちが緩んでくる。

ハイマツの向こうにイザルケ岳 光小屋を見ながらのセンジヶ原 光岳山頂


静高平から緩やかに登って、センジヶ原に出る時、ライチョウ親子に出会った。 親ライチョウは曲がったダケカンバの根本の幹に載っていて、幹と同じ色をしているのでちょっと判らなかったが、 子供が草の中でチョロチョロしている。 こちらを見て逃げようともしない。最近まで光岳にはライチョプがいないとされていたそうだ。センジヶ原に出て、ハイマツ帯になる。 ハイマツはこの光岳が南限という。ハイマツの向こうにはイザルケ岳が丸く丘のように広がり、その分岐に出て、木道になった。 イザルケ岳は明日寄ることにして、正面に光小屋を見ながら、真っ直ぐ木道を進む。木道が終わって緩やかに進むと、 13時22分、光小屋に到着。

四年前に新築された小屋は綺麗で、大勢の登山者が庭のベンチに座っている。とても賑やかなので眺めていると、 日本百名山を70日で制覇するという平田さんがいらしていた。平田さんを囲んで、 光岳で98山目という神戸の人と、100山目の夫と、96山目の私や、友達も入り、皆で記念写真を撮る。 小屋の宿泊手続きをし、すぐに下山する平田さんと別れ光岳山頂へと向かう。 山頂へは、ダケカンバ林を15分程登って到着。トウヒやシラベの樹林帯の中で光岳の標識が大きい。 7〜8人の登山者がすでに到着しており、みんなの拍手を得て夫は光岳山頂に到着する。私が100山登頂したようでうれしく、 友達が用意してくれたビールを皆で飲みながら、趣味を同じくした同胞との語らいは楽しい。
光石 光小屋の正面に富士山 イザルケ岳山頂からの聖岳


光岳山頂は樹に邪魔されて展望はないが、山頂からほんの少し下ると、一角が開け、光石が見える。 光岳の山名の由来があの光石というが、本当に突き出た岩が光って見える。ふと足元を見ると、御料局の標石がある。 ずーと一緒に行動しているドラエモンのお兄さんは早速、寸法を測り、光岳山頂には三角点と御料局の二つの標石がありますと云う。 成る程と思いながら、列になって光石に向かう。10分程下って、尾根から突き出た露岩の光石によじ登る。 展望が一気に開け、目の前の加加森山が大きく、稜線は幾重にも重ねあっていた。光石にはブルーの可愛いお花が咲いており、 小屋に戻って、ミヤマムラサキと云う名であることを知った。小屋は満員。90aの幅に3人寝るという驚くべきスペースだが、 皆、寝袋に入って頭と足を交互にして寝るので、思ったほど窮屈ではなかった。トイレもバイオトイレで清潔。

翌朝、晴れ。光小屋の正面にすくっと立った富士山を見ながら、5時40分小屋を出発。 今日はこのまま易老渡に下りるだけなので、センジヶ原からイザルケ岳へ行く。 ダケカンバ林を通り、歩いて15分程で岩礫の頂上に着く。イザルケ岳山頂は素晴らしい展望だ。 朝6時。踊るように流れる雲の合間から南アルプスの山々や富士山が飛び出してくる。何と気持ちの良い朝なのだろう。 思い切り深呼吸をし、大気を体一杯に浸透させる。イザルケ岳を下り、静高平に出て、 いよいよ易老渡までの長い急な下りが始まる。下山や登ってくる何組かの人と行き交いながら、 飽きる程下って、11時25分、易老渡に到着。

橋を渡って、へとへとになって林道に出ると、若い釣人に会った。「これから登るの?」と若者に云われ、 うれしくなって引きずった足をしゃんとする。大小のやまべが16匹、ビクの中を見せていただき、「すごい 、大漁ね。」と言うと、 「お互い、今日は良い日だったね。」 若い人のスカッとする言葉。手を振って別れるこの若い人達。そんな後ろ姿をみながら、 まだ日本は万々歳だとうれしく思い、光岳をあとにする。