玉  山
ぎょくさん

3952b 2008.5.11〜5.16

台湾のほぼ中央に位置する玉山は富士山より高く、昔、日本の統治時代に、日本で一番高い山という意味で新高山と呼ばれ、私などは新高山と呼だ方がなじみがある。玉山登山に際して、海外からは一日24名しか入山許可が下りないので、申し込んでから3週間位待った。その上に、ライセンスを持ったガイドを同行しなければならないという決まりがあり、夫とガイドの3人の登山になった。ガイドはガイド歴9年の笑顔バッチリの青年、サイさん。日本語も英語も話せないので、会話は筆談。漢字を書けば大体は理解し合え、親しい隣人と山登りという感じの楽しいスタート。天気は快晴。

玉   山

台北から車で5時間30分かかって有里山へ。有里山閣ホテルに泊まる。翌日、上東浦まで戻り、ここからは車乗り入れ禁止で徒歩7〜8分で塔塔加(タータカ)警察分隊所へ。ここでパスポートと入山許可書を提示し、こちらのマイクロバスに送られて登山口まで6分程乗る。5月の台湾は丁度梅雨時と聞いていたが、今日も明日も天気が良いようで、心も軽い。正面に玉山前峰を見ながら登山口10時出発。すでに登山口は2900bの位置にある。今日は3400bに建つ拝雲山荘泊なので標高差500b、8、5`を5時間かけて、ゆっくりと歩くとのガイドの説明だ。30分程歩いても草花や、高い木もなく、登山口辺りがまだよく見え、マイクロバスで一緒だった台湾の登山者6人はまだ登山口辺りにいた。1時間ぐらい歩いて休憩所に着く。

登山口 石楠花と小南山

15〜16人の台湾のグループが休んでいて、”ニーハオ”と挨拶すると、日本人ですかと声をかけられる。台湾の人とは本当に顔もよく似ていて私などは区別がつかないが、やはりどこかちがうようだ。日本語も話せる人がいて、大勢に話しかけられ一緒に写真を撮ったり、うれしい一時を過ごす。休憩場の側には少し離れてトイレがあり、今晩泊まる山荘までにはもう一カ所あるというので、すごく安心する。やがて、うっそうとした冷杉(モミ)の林になり、深い森林帯の切り立った斜面に造られた登山道を行く。下の方の石楠花は花の時期が終わっていたが、この辺りから石楠花は今が満開。白、ピンク、赤と色とりどりの大輪の石楠花が冷杉の林に鮮やかに浮き上がる。

玉山の頭が見える 樹間の登山路

そそり立つ岩壁の一枚岩が登山道に迫る。変質砂岩の岩肌には波紋の跡があり、海中生物の化石があるとサイさんが指差して教えてくれる。ここが大昔、海の中だったという驚きの事実だ。少し行くとリックが2つ置かれているので、よく見ると玉山前峰分岐だった。ここから空身で前峰に登っているようだ。ここで、下山中の10人位のツーアーとすれ違い、”ニーハオ”と挨拶すると”こんにちわ”というではないか。あらと云うとえ?日本人ですかと言う返事に何か懐かしい感じがしてしてしまう。四国の山岳会のグループであるという。大きな山なのに人数制限をしているせいか、本当に人に会わない静かで山歩きそのものが楽しめる。

登山道に迫る一枚岩 拝雲山荘

やがて2番目のトイレが現れた。登山道からそれて50bぐらい奥に入つているのでニオイはしないが、あたりにはハエが飛んでいた。そして、そこから150bぐらい進むと階段があり、3000bに位置する展望台テラスがあった。広いウッドデッキの休憩場には30人ぐらいの登山者が休憩していた。私達もイスの一隅を空けて頂いて昼食をとる。サイさんが有里山茶を沸かしてくれる。とても良い味なのでおみやげに買うことにした。ホテルのお弁当も美味しく、台湾の人達も話しかけてくれるので居心地よく、サイさんもここから山荘までは1時間余りと言うので、12:23〜13:50分まで休憩する。このテラスからは玉山山頂がよく見える。真青な空に山は大きい。

そして、1時間10分で拝雲山荘に到着。山荘はイスとテーブルがたくさん設置された前庭のある清潔そうな建物で、70人位は宿泊できそうだ。入り口から入ると土間になっていて、壁際のテーブルの上には、常時、お湯が入っているポットが置かれ自由に飲むことが出来る。登山者はここでウーロン茶やコーヒーを入れ、庭のテーブルでくつろぐ。私達もお茶を入れ、テーブルで2時間ほど休む。さわやかな風は気持ち良く、大勢の台湾の人達と筆談や少し日本語が話なせる人が通訳になって、本当に楽しい時を過ごす。玄関の土間からは靴を脱ぎ、広い廊下の片側は二段式になっていて、それぞれ床にはウレタンが敷き詰められている。マットを持参してきたが必要なく、寝袋だけで快適で、リュック置き場等のスペースもゆったりしている。

山荘から見える玉山 玉山山頂から日の出を見る

土間の奥は台所になっていて、各自自分で炊事する。あるのは水だけなので、燃料や食器、食料すべて自分で運ばなければならない。私達はサイさんが作って下さったご飯、生姜スープ、野菜そして鰻の蒲焼きを頂く。生姜スープは美味しかったが、鰻が泥臭く食べるのに困った。歯磨きなどは建物裏手に水がわき出ていて、それを使用。トイレはバイオで清潔。19時就寝。翌朝2時起床。生姜入りおかゆの朝食(これは玄関土間のテーブルに熱々おかゆ鍋がおいてあり食べ放題)を頂き3時に出発する。山頂までは2.4`、高度差550bで、ヘッドランプをつけ、ゆっくりペースで登る。殆どの登山者が同じような時刻に出発しているようで、何組かのグループを追い越し、ライトの光が下の方で動いていて、まるで蛍のように見える。

玉山山頂 山頂で台湾の登山者と一緒に

暗いので、辺りの様子がわからないが3500b付近で森林限界を越え、急峻な岩場登りになる。そして、1時間50分かかって、4:50分玉山山頂に到着する。まだ暗い山頂には次々と登山者が到着し日の出を待っている。3952bの日の出前の山頂はやはり寒く、サイさんが沸かしてくださったウーロン茶を胸に暖めながらご来光の瞬間を待つ。12〜3分後正面の山の頂から光りがこぼれ、ご来光の瞬間がきた。暗い山頂がみるみる黄金色に輝き始めると、山頂でこの瞬間を待っていた台湾の30人位の登山者と一緒に万歳をする。正面に玉山東峰、左に気象観測所のある北峰、右に南峰と、みんな3800b以上の山々で、台湾にも台湾100名山があるそうで、そのうちの30山以上がこの玉山付近にあるという。その峰峰が朝日に照らされて一斉に現れた。

山頂の景色 急峻な岩場の下り

山、又、山の素晴らしい景色だ。写真を何枚も撮り、1時間位休んで5:55分下山開始。山頂からは褶曲運動の圧力と激しい気象条件で風化した急峻な岩場が続いていた。玉山の登山道はあちこち崩れていて、又、新しい道が造られているが、かなり荒れている感じだ。1時間ほどで拝雲山荘に着き、日本から持参してきたインスタントソーメンを食べ、山荘9時に下山始める。楽しい下りで登山口に11時に到着。サイさんがрオてくれたのか、ワゴン車が待っていて、それに乗せて頂いて塔塔加警察分隊所へ。ワゴン車から降り、又5分程歩いて上東捕に到着。そこにも車が待っていてくれて途中、ビジターセンターに立ち寄り、海苔巻きを食べ、パンフレット等を頂いて、又、5時間かかって台北に戻る。

崩れる登山道 楽しい下り

翌日、故宮を半日見学し、基隆や九分なども観光。そしてフルーツ店を覗く。大きな立派なマンゴーが200円、パイナップルが50円、バナナも一房100円。フルーツがとても美味しく、台湾の人達は親切で、そしてこの4日間すべて快晴でうれしい台湾だった。

台北12:30→18:00有里山閣ホテル8:40→9:40玉山登山口10:00→13:10拝雲山荘3:00→4:50玉山山頂5:55→7:00拝雲山荘
拝雲山荘9:00→11:00登山口11:10→11:30有里山森林ビジターセンター12:30→17:30台北