悪沢岳・赤石岳
わるさわだけ    ・  あかいしだけ

3,141b ・2001.09.23〜24 3,120b



05:20 椹島ロッジ
10:47 千枚小屋着
11:16 千枚小屋発
12:05 千枚岳山頂
13:47 悪沢岳山頂着
14:20 悪沢岳山頂発
15:34 中岳避難小屋 
15:56 椹島ロッジ
09:53 赤石岳山頂発 
09:20 赤石岳山頂着
08:40 小赤石岳
07:30 大聖寺平
06:40 荒川小屋
05:35  中岳避難小屋



静岡駅からバスで畑薙第一ダムまで行き、ダムから東海フォーレストの送迎バスに乗り換える。 何人かいた乗客はダムで降り、乗り換えたのは私達と若者との3人だった。 マイクロバスに乗り換えてまもなく、目の前の林道がなくなった。 2週間前の台風時の大雨で結構な長さの林道がストンと落ちていた。 バスを降り、わずか山際に残された道を歩いて渡る。谷底のような下は湖で、自然の猛威を恐ろしく感じながら 向こうに待っていたマイクロバスに乗り、椹島ロッジへ向かう。今年中に林道は回復できないので、こちら側の車は雪の中に埋もれるのだという。 赤石岳登山口で今日は赤石小屋まで行くという若者が降りた。1時過ぎ、椹島ロッジに着く。 夕食時、赤石岳から下山した5人と一緒に食事する。夕べ、千枚小屋はかなりの人だったという。 ここから明日登るのは私達だけのようだ。

5時20分、椹島ロッジを出発。ロッジ裏手の登山道から林道に出て、つり橋を渡り、林の中をトラバース気味に登る。 道は荒れていて、突然道が無くなったりしていた。先々週の台風の影響が随所にあり、土砂で埋まった道の上方に真新しいペンキが付けられ、木々を切り倒して急遽、道は造られていた。送電線の鉄柱の下に出ると間もなく小石下に着く。ここからは従来の登山道にぶつかり、 緩やかな良い道になった。1時間程登ると水場のある清水平に着く。相変わらず展望がきかない緩やかな道を進む。 林はシラビソ林になり平坦な広場に出て、わらび段に着いた。薄暗く、湿っぽい林の中に、朝日が射し込んでいて、 下草の緑が鮮やかに輝き、とてもきれい。丸太に腰掛け、朝食のおにぎりを食べながら、光の織りなす調べを30分程楽しみ、 又、歩き始める。

見晴らし岩から荒川岳 千枚岳山頂から富士山を望む 悪沢岳が近づく

すぐに見晴らし岩に出る。ここからの見晴らしは最高で、荒川三山と赤石岳がどーんと目の前だ。 丁度このあたりは伐採跡のようで、素晴らしい展望もここだけだ。下山してくる20人位のグループを見送り、 すぐ又林の中の緩やかな道を進む。5時間も登ったのに車の音がした。 林の奥を確かめると林道があるようだ。そして登山道と林道の間に湿地が見え、駒鳥池とプレートがさがっている。 やがて、登山道は大きくまわり、尾根の南斜面を登り、木々の間から小屋がチラッと見え、そこにケーブルが張られているのが見える。 林道から小屋への運搬に使っているのかしらと眺め、汗をかきかき登っていくと林から飛び出して、千枚小屋に到着した。

広い平坦地の小屋の前は遮るものがなく、裾野を広げた富士山が大きく広がり、素晴らしい景色だ。 富士山を撮りにここまで登ってきた人が、山に雲がかかるのを4時間も待っているという。オモチ入りの美味しいうどんを食べ、30分も富士山をながめる。 11:16分千枚小屋を出発。草地の中を横切り、ダケカンバの中を進み、ざらついた急登を行く。 荒川三山がどんどん迫ってきて、赤石岳も大きく見えてくる。ハイマツの向こうに千枚岳頂上の標識が見え、 千枚岳山頂に12時5分到着する。凄い!!富士山の見事な姿。山頂に座ると、 幾重もの稜線の上に富士山が丁度目の高さにあり、富士山とこのような目線で対面するのは初めてで、感激だ。

富士山から目を離すと、本命の荒川三山の雄大な姿、そして赤石岳が聖岳を背景にがちっと構えている。 大展望の千枚岳山頂にしばしたたずむ。山頂からは稜線をトラバースして、ザレ場を下り、岩場を通過。 なだらかに広がる丸山の山頂を通りすぎ、岩場を登ると、いよいよ待望の荒川東岳が近づく。大きな岩の向こうに東岳、 別名悪沢岳の山頂標識が見えた。聖岳、赤石岳を背景に堂々とした悪沢岳標識に13時47分到着。  ”万歳、ついに着いた” 3,140bの悪沢岳からは豪華版の大パノラマで、富士山から赤石、 聖はもちろん塩見、間の岳、そして目の前は中岳と、3,000b級の山ばかりだ。みんなみんな素晴らしく、 この快晴時に頂上に立てたことにうれしさ一杯だ。雄大な姿を眺め回し、写真もひととおり撮り、 やっと気持も落ち着いてゆっくり休む。

悪沢岳山頂(赤石岳を背景に) 悪沢岳山頂からの赤石岳 中岳避難小屋からの日の出


風もなく暖かい日射しを受け、このまま下るのは勿体なくて、40分余り休んでしまった。 今日は荒川小屋まで行く予定であったが、目の前に見えている中岳避難小屋に泊まる事にした。 展望を堪能し悪沢岳を下る。ガレキの急斜面を思い切り下る。、鞍部から見上げる悪沢岳はびっくりする程大きい。 ハイマツが混じった岩稜の中岳の登りになって、塩見から農鳥岳を見ながらの楽しい登り。 背後に悪沢岳のおおきな姿を意識しながら、近づいてくる塩見岳の山容にも見とれる。 中岳避難小屋に15時34分到着。悪沢山頂から1時間位かかったが、小さく心細くみえた小屋は清潔な山小屋風で、 管理人さんがとても親切。丁度聖岳から縦走してきたという御夫婦も到着し、宿泊者は私達夫婦の4人。

3,083bの中岳直下に建っている小屋は展望が素晴らしい。そして夕焼けの見事な事。真っ赤な太陽が沈み、 燃えた空の余韻がいつまでも残り、東側にある富士山の姿が暗闇の中に残る。夜、降ってくるような星の大群。 見覚えのある星座達も頭上にくっきりで、夜空は星の洪水。寝袋に入って、 今まで見たこともない鮮明な星空を小屋の窓から寝ころがって見る素晴らしさ。そして朝、日の出を拝む。 5時15分、悪沢岳の斜面と富士山の間から朝日が出る。暗い空の東側にボーッと赤みがさしてきて、 富士山が浮かび上がり、感激の一瞬である。神々しい光がサーッツと射し込んできた時、 祈る気持ちになる。管理人さんと御夫婦に別れを告げ、5時35分、中岳避難小屋を出発する。

すぐ裏が中岳山頂だ。中岳から少し下った分岐から前岳南面の斜面を下る。朝日に輝く赤石岳を見ながら急峻なガレを下る。 朝日が見る間に広がって、山襞まで明るくなる様子や赤石岳に見とれていると、 道は崩れているところもあって、うっかりすると滑ってしまう。遥か遠くに豆粒のように見えていた 荒川小屋が、どんどん大きくなり、ダケカンバの林を抜けて、6時40分、荒川小屋に着いた。 まだ新しい小屋の前庭には、大きな荷物が置かれ、2人の男性が小屋の窓に板を張っていた。今日小屋閉めするそうで、 余ったからとオレンジ2個を下さったが、顔を見て驚いた。椹島ロッジへ行くときにバスで一緒だった若者だった。ここは居 心地よくてと若者は笑いながら窓に板を張る。ここからも真正面に富士山が見え、水も流れていて心地よく、小屋閉めのじゃまをしないようはなれて10分休む。穏やかな気分になって、ダケカンバ林を抜け、砂礫の斜面に出る。

大聖寺平から荒川中岳を見る 小赤石岳の向こうに赤石岳が見える 赤石岳山頂から悪沢岳を望む

大小のケルンが立つ大聖寺平に7:35分に着く。日に輝く荒川中岳のどっしりした立派な姿にほれぼれと見とれる。 だが、目の前には重量感のある赤石岳が待ちかまえている。荒川岳と赤石岳の両横綱を左右に持つこの大聖寺平から いよいよ赤石岳の登りとなった。まずは小赤石岳への肩への急斜面を行く。9月末の朝日はやさしく、 ひんやりとした風も気持ち良く、苦しい登りもさわやかだ。1時間程かかって小赤石岳の肩に着く。 荒川三山が一段と大きく現れた。眺めの良い稜線からはピークの向こうに小赤石岳、そしてその向こうに赤石岳が続き、 待望の赤石岳が迫ってくるワクワクする主稜線だ。小赤石岳に8:40分到着する。一人の若者が私達の到着を待っていて、 お互いに写真を撮り合う。百聞洞から来たと言う彼の山への情熱を聞きながら、一緒に赤石岳に向かう。

小赤石岳から少し下って、赤石小屋への分岐に出る。赤石岳の山頂を通過してきたので、このまま椹島へ下るという彼と別れ、 赤石岳への最後の登りで9時20分赤石岳山頂に到着する。万歳、万歳だ。 この赤石、悪沢岳はアクセスが悪いだけでなく、 3,000b級の山々の踏破なので、遙かに遠い山であった。登り切れて本当にうれしい。 この山頂からも360度の大パノラマで、富士山を目の前にして、左に大きく荒川三山そして右に聖岳からそれに続く稜線、 山、又、山が連なる大展望に口から出るのは歓声ばかり。スッキリとした赤石避難小屋が足元に見えるが、 この広大な赤石山脈に人影はない。こんな快晴日に登山者がいないなんて勿体ない様な気持ちで、 山頂の展望を夫と2人だけで貪り楽しむ。

これから椹島まで2,000b程下らなければならないので、名残惜しい赤石岳山頂を後にする。9:53分下山開始。 先程の分岐まで下り、椹島までの長い下りが始まる。尾根からガレ場を下り、赤石岳のカールを下る。 巨岩塊が散乱する荒々しい光景を見て、起伏を幾つも繰り返し、とても長い道のりに感じて富士見平に着く。 広々としたハイマツから荒川岳や赤石岳の勇姿を又、眺め、そして樹林帯の中に入り、小屋が見えるのになかなか着かない感じで、 やっと12時に赤石小屋に到着。 小屋の前からも赤石岳、聖岳の姿が素晴らしい。

これからは樹林帯の中を一気に下るだけなので、この展望を目に焼き付ける。 12:22分小屋からシラビソの尾根道を下り、ダケカンバ林を下り、、ヒノキ林を下り、膝がガクガクになって、 林道が見えた時は、やっとこれで終わったと安堵する。椹島ロッジ着15;56分。 赤石、悪沢岳の大きな山容の懐にすっぽりと包まれて、見事に晴れ渡ったこの二日間、赤石山脈の雄大なスケールを堪能出来て、 充実感で一杯だ。