マーラーの「交響曲」 Symphony of Mahler


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マーラーの「交響曲」
 マーラーは完成した作品としては10の交響曲をかいている。(「大地の歌」を含める。第10番は未完)
 周知のように、いずれの交響曲も完成度が高く、高度なオーケストレーション、時代の枠を超越した技法が見られる。演奏家への要求も高度であり、その難易度の高さは、管弦楽団の実力を露呈させる。
 以下に簡単に紹介する。(詳しい解説は、「詳細解説」を御参照ください)

  ⇒  交響曲第1番 ニ長調
  ⇒  交響曲第2番 ハ短調 ⇒ (第2番の 「詳細解説」は ♪こちら♪ を御覧ください)
  ⇒  交響曲第3番 ニ短調 ⇒ (第3番の 「詳細解説」は ♪こちら♪ を御覧ください)
  ⇒  交響曲第4番 ト長調
  ⇒  交響曲第5番 嬰ハ短調
  ⇒  交響曲第6番 イ短調 ⇒ (第6番の 「詳細解説」は ♪こちら♪ を御覧ください)
  ⇒  交響曲第7番 ホ短調 ⇒ (第7番の 「詳細解説」は ♪こちら♪ を御覧ください)
  ⇒  交響曲第8番 変ホ長調 ⇒ (第8番の 「詳細解説」は ♪こちら♪ を御覧ください)
  ⇒  大地の歌
  ⇒  交響曲第9番 ニ長調 ⇒ (第9番の 「詳細解説」は ♪こちら♪ を御覧ください)
  ⇒  交響曲第10番 嬰ヘ長調


交響曲第1番
ニ長調
「巨人」

Symphonie 1
D dur
"Titan"



<1番投票>

第1番CD紹介

<成立史>
1884年 カッセルにて作曲に着手
1888年 ライプチヒにて完成
1889年 ブタペストにて、作曲者の指揮により初演(11月20日)
1892年、1893年に改訂

<編成>
フルート 4 (3,4番はピッコロ持ち替え)、オーボエ 4 (3番はイングリッシュ・ホルン持ち替え)、クラリネット4 (3番はバスクラと持ち替え、4番は小クラリネットと持ち替え)、ファゴット 3 (3番はコントラファゴット持ち替え)、ホルン 7、トランペット5、トロンボーン4、チューバ1、ティンパニ2、大太鼓、シンバル、トライアングル、タム・タム、ハープ、弦5部。
(ユニヴァーサル版)

 良く演奏される第1番。この傾向はマーラーブーム以前からそうであったらしい。2番以降の作品がよく演奏されるようになったのは、ここ50年くらいのことである。(マーラーは1911年に死去している)
 多くの作曲家と異なり、初期の作品、まして交響曲としては、非常に完成度が高い作品である。
初演時には「二つの部分からなる交響詩」と題され、現在より1楽章多い5楽章だった。もともとは交響曲ではなく、交響詩として作られている。96年にベルリンで演奏されたのを最後に、タイトルである「巨人」、各楽章に附された標題、そして第2楽章が削除され、現行の4楽章となった。現在も「巨人」と題されるのは、その名残にすぎず、作曲者自身は、タイトルを削除していることになる。
 削除された第2楽章は「花の章」と言われ、再現された演奏もあるが、初稿(花の章をふくんだ全曲版)は発見されていない

交響曲第2番
ハ短調
「復活」


Symphonie 2
C moll
"Auferstehung"



<詳細解説>

<2番投票>

第2番CD紹介

<成立史>
1887年頃 スケッチを開始
1888年 プラハにて作曲に着手(9月10日)
1891年 第1楽章をハンス・フォン・ビューローに聴かせる(於:ハンブルク)
1893年 シュタインバッハにて第2・3・4楽章を完成
1894年 ビューローの葬儀に列席
     その際うたわれていたクロシュトックの「復活讃歌」をもとに終楽章作曲を即決
     第5楽章ハンブルクにて完成(12月18日)
1895年 ベルリンにて、作曲者の指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏により初演
 ⇒ 詳細解説

<編成>
フルート 4 (すべてピッコロ持ち替え)、オーボエ 4 (3、4番はイングリッシュ・ホルン持ち替え)、クラリネット3 (3番はバスクラと持ち替え)、小クラリネット2(2番は4番クラリネット持ち替え)、ファゴット4 (4番はコントラファゴット持ち替え)、ホルン6、トランペット6、トロンボーン4、チューバ1、ティンパニ2(各3台)、大太鼓、小太鼓(できれば複数)シンバル、トライアングル、タム・タム(大小2)、グロッケンシュピーゲル、鐘3、むち、オルガン、ハープ、弦5部。
舞台裏にホルン4(7〜10番ホルンとしてオケでも使用)、トランペット4、ティンパニ、大太鼓、シンバル、トライアングル
ソプラノ独唱、アルト独唱、混声合唱
(ユニヴァーサル版)
 
 この交響曲の副題「復活」は、声楽を含む第五楽章の第三部「復活讃歌」から取られたものである。第五楽章は長大であり、オーケストラ編成もオルガンを含むなど大きいものである。
 第1楽章 葬送 (アレグロ・マエストーソ まじめで荘厳な表現で一貫して)
 第2楽章 アンダンテ・モデラート 非常にゆったりといそがずに
 第3楽章 スケルツォ (静かに流れるような動きで)
 第4楽章 原光 (極めて荘厳に、しかし簡素に)
 第5楽章 スケルツォのテンポで、荒野を進むように
 この曲によって、マーラーは世に認められる作曲家になった。

交響曲第3番
ニ短調


Symphonie 3
D moll



<詳細解説>

<3番投票>

第3番CD紹介

<成立史>
1895年 シュタインバッハにて作曲に着手
1896年 シュタインバッハにて完成(8月6日)
1902年 クレーフェルトにて作曲者の指揮により初演(6月12日)
 ⇒ 詳細解説

<編成>
フルート4(すべてピッコロ持ち替え)、オーボエ4(4番イングリシュホルンと持ち替え)、クラリネット3(3番はバス・クラリネットと持ち替え)、小クラリネット(2番はクラリネットと持ち替え)、ファゴット4(4番はコントラファゴットと持ち替え)、ホルン8、ポストホルン、トランペット4、トロンボーン4、テューバ、ティンパニ2(各3台ずつ)、大太鼓、小太鼓、軍隊用小太鼓、シンバル付き大太鼓、タンバリン、シンバル、トライアングル、タム・タム、グロッケンシュピール、テューブラベル6、ハープ2、弦5部
アルト独唱、児童合唱、女声合唱
(ユニヴァーサル版)

 マーラー作品で最も好きな交響曲である。ことに最終楽章の甘美な旋律は特筆もの…
 この交響曲も当初は表題交響曲として構想された。次のようなものであったとされる。
  第1楽章「牧神(パン)が目覚める、夏が来る」
  第2楽章「牧場で、花が私に語ること」
  第3楽章「森の中で、獣が私に語ること」
  第4楽章「人が私に、(夜が私に)語ること」(アルト・ソロ付き)
  第5楽章「天使達が(朝の鐘が)語ること」(児童合唱、女声合唱、アルト・ソロ付き)
  第6楽章「愛が私に語ること」
  第7楽章「子どもが私に語ること」
 ご存じの通り、3番の最終楽章は第6楽章である。この第7楽章は採用されないで、第4番で使用されることになる。

 第1楽章は平均的な演奏時間で30分を超える。マーラーは第1楽章を第1部、それ以降を第2部と位置づけている。その構成のしかたは、第5番や第8番などでも見られる。

交響曲第4番
ト長調


Symphonie 4
G dur



<4番投票>

第4番CD紹介

<成立史>
1899年 オーストリア バード・アウスゼーで作曲に着手
1900年 ケルンテン(カリンティア) マイヤーニッヒにて完成(8月5日)(1901年に補筆)
1901年 ミュンヘンにて作曲者の指揮により初演(11月25日)

<編成>
フルート4(3、4番はピッコロ持ち替え)、オーボエ3(3番イングリシュホルンと持ち替え)、クラリネット3(2番は小クラリネットと持ち替え、3番はバス・クラリネットと持ち替え)、ファゴット3(3番はコントラファゴットと持ち替え)、ホルン4、トランペット3、ティンパニ、大太鼓、シンバル、トライアングル、タム・タム、グロッケンシュピール、鈴、ハープ、弦5部
(ユニヴァーサル版)

 作風が「古典交響曲」的である。
 この交響曲にいたって、マーラーは標題をかかげたり、解説を記すことをほぼ断念したといわれる。しかしながら、「3番の第7楽章」を第4楽章においている点、「3番の第5楽章=天使たちが語ること」のモチーフが終曲で重要な役割を持っている点などから、「交響曲=交響詩」の理念はこの時点においても生きていると見るべきだろう。
 マーラーの交響曲中、オケの編成が最も小さく、金管中低音セクション(トロンボーン・チューバ)がない。このセクションを欠いているのはこの曲のみである。

交響曲第5番
嬰ハ短調


Symphonie 5
Cis moll



<詳細解説>

<5番投票>

第5番CD紹介

<成立史>
1901年 マイヤーニッヒにて作曲に着手
1902年 完成
1904年 ケルンにて作曲者の指揮により初演(10月18日) その後5回にわたって改訂
 ⇒ 詳細解説

<編成>
フルート 4 (3,4番はピッコロ持ち替え)、オーボエ3 (3番はイングリッシュ・ホルン持ち替え)、クラリネット3 (3番はバスクラと持ち替え)、ファゴット3 (3番はコントラファゴットと持ち替え)、ホルン6、トランペット4、トロンボーン3、チューバ1、ティンパニ、大太鼓、シンバル付き大太鼓、シンバル、トライアングル、タム・タム、グロッケンシュピール、ホルツクラッパー、ハープ、弦5部。
(ペータース版)

 マーラーを代表する交響曲であろう。
 5番以降6番・7番は合唱隊が入らない。しかし、6番・7番は比較的敬遠され気味なところがある。今日「5番」が演奏会で多く取り上げられるのも、合唱団を用意しなくても良く、なおかつ聴衆受けがよいといった事情があるかと思う。
 この曲は全曲5楽章から構成されているが、マーラーはスコアに全体を3部に分けるようにかきこんでいる。第1部は第1・2楽章、第2部が第3楽章、第3部が第4・5楽章である。

 余談であるが、この曲の作曲に着手したころ、マーラーは妻になるアルマ・シントラーと出会っている(右写真)。このときアルマは21歳であったというから、マーラーとの年齢差は20歳近くある。出会ったころから才女の風格を漂わせていたそうな…
 アルマ関係の文献も多く、貴重なマーラー研究の根拠となっている。⇒「アルマ・マーラー」

交響曲第6番
イ短調
「悲劇的」

Symphonie 6
A moll
"Tragische"



<詳細解説>

<6番投票>

第6番CD紹介

<成立史>
1903年 マイヤーニッヒにて作曲に着手
1904年 マイヤーニッヒにて完成(9月9日)
1906年 エッセンにて作曲者の指揮により初演(5月27日)
 ⇒ 詳細解説

<編成>
ピッコロ1、フルート 4 (3,4番はピッコロ持ち替え)、オーボエ4 (3、4番はイングリッシュ・ホルン持ち替え)、イングリッシュホルン1、クラリネット3、小クラリネット1(クラリネット持ち替え)、バスクラリネット1、ファゴット4、コントラファゴット1、ホルン8、トランペット6、トロンボーン4、チューバ1、ティンパニ2、大太鼓、小太鼓、シンバル、トライアングル、タム・タム、グロッケンシュピール、シロフォン、むち、ハンマー、ヘルデングロッケン(カウベル)、ティーフェス・グロッケンゲロイデ(低音の鈴、鐘に近い)、ハープ2、チェレスタ(できれば2台、またはそれ以上)、弦5部。

 マーラー作品の中では、1番・3番につぐ、「正統派」な交響曲といえる。声楽なしの4楽章構成で、調も極端な変化が認められず、古典派(ロマン派)の交響曲に準ずるつくりである。
 この曲の中で、マーラーは打楽器に「特殊楽器」を3つ指定してる。
 まず、ベルを2種類指定している。ひとつはカウベルであり、もう一つは教会の鐘を模したベルである。カウベルは1楽章、3・4楽章にたびたび登場する。マーラー作品では、第4交響曲でわりと賑やかに使用されるが、6番では控えめに使用される。また、教会の鐘を模したベルは第4楽章に登場する。ここでマーラーは「低い音」でガランゴロンとなるようなベルを要求している。
 3つめはハンマー(木槌)である。ハンマーは「運命の打撃の象徴」として、第4楽章で2回ほど打たれる。
 ちなみに「悲劇的」という副題は、初演の時に附されていたとされる。今日、日本以外ではほとんど用いられていないそうである。

交響曲第7番
ホ短調
「夜の歌」

Symphonie 7
E moll
"Nachtmusik"



<詳細解説>


<7番投票>

第7番CD紹介

<成立史>
1904年夏+1905年夏 マイヤーニッヒにて作曲
1908年 プラハにて作曲者の指揮により初演(9月19日)
 ⇒ 詳細解説

<編成>
ピッコロ1、フルート 4(4番はピッコロ持ち替え)、オーボエ3、イングリッシュホルン1、クラリネット3、小クラリネット1、バスクラリネット1、ファゴット3、コントラファゴット1、テノールホルン1、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、チューバ1、ティンパニ、大太鼓、小太鼓、タンブリン、シンバル、トライアングル、タム・タム、グロッケンシュピール、むち、ヘルデングロッケン(カウベル)、ティーフェス・グロッケンゲロイデ(低音の鈴、鐘に近い)、マンドリン、ギター、ハープ2、弦5部。 
 マーラーの交響曲の中でも、最も「馴染みの薄い曲」とされることが多い。最近はそんなこともないと思っているが、どうだろうか…

 7番の副題「夜の歌」は、「夜の音楽」として作曲された2曲が7番の第2楽章と第4楽章になったことによる。
 しばしば、「この交響曲は解釈が難しい」といわれる。それは、第5楽章のフィナーレの取扱い方にあるらしい。マイナーから一転して、あのどんちゃん騒ぎのようなフィナーレ。個人的には好きであるが、初演当時、古典的な交響曲からみれば、あまりにもかけ離れたこのフィナーレは評判が悪かったらしく、マーラーはかなり落胆したようである。
 7番にも一般的にはオケで使用されない楽器が登場する。
 第1楽章にテノールホルンのソロがある。「テノールホルン」と書くと馴染みのない楽器に思えるが、吹奏楽でユーフォニウムといえば、思い当たる方も多いかと思う。ユーフォのベルをちょっと引っ張って伸ばしたような楽器が、これに相当する。(「ワーグナーホルン」ともいわれる)さらに、第4楽章ではギターとマンドリンを使用している。この音色がオケの音色と混ざり合って、妙な案配の音楽になる。今日ではけっして音の大きくないギターやマンドリンはマイクをとおして増幅されることもあるが、マーラーが生きた時代にこの楽器の音色をどのように際だたせたのか不明である。オーケストレーションは薄くなってはいるが、もしかすると、マーラーはそんなに目立たなくても良いくらいに思って、書いたのかも知れない…

交響曲第8番
変ホ長調
「千人の交響曲」


Symphonie 8
Es dur



<詳細解説>

<8番投票>

第8番CD紹介

<成立史>
1906年 マイヤーニッヒにてスケッチを完成(6月〜8月)
1907年 マイヤーニッヒにてオーケストレーションを完成(晩夏)
1910年 ミュンヘンにて作曲者の指揮により初演(9月12日)
 ⇒ 詳細解説

<編成>
ピッコロ(最低2本、第1ピッコロはだ5フルートに持ち替え)、フルート4、オーボエ4、イングリッシュホルン1、クラリネット3、小クラリネット(最低2本)、バスクラリネット1、ファゴット4、コントラファゴット1、ホルン8、トランペット4、トロンボーン4、チューバ1、ティンパニ(2奏者)、大太鼓、シンバル、トライアングル、タム・タム、グロッケンシュピール、低音の鐘(音程指定)、マンドリン(複数)、チェレスタ、ピアノ、ハーモニウム、オルガン、ハープ2、弦5部。
ソプラノ3、アルト2、テノール、バリトン、バスの各独唱、混声合唱2、児童合唱
舞台外 トランペット4、トロンボーン3(合唱の人数が多い場合、木管は倍増される)

第二部では独唱者に次のような役割があてられる。 
 第1ソプラノ…罪深き女
 第2ソプラノ…贖罪の女のひとり
 第3ソプラノ…栄光の聖母
 第1アルト……サマリアの女
 第2アルト……エジプトのマリア
 テノール………マリアを讃える博士
 バリトン………法悦の神父
 バス……………瞑想の神父
(ユニヴァーサル版)

 初演の際に、興行主が宣伝用のキャッチフレーズに「千人交響曲」と名づけたそうで、それが今も副題として使用されている。(マーラーはこのネーミングをきらっていたそうであるが…)実際に、初演時には合唱団858人、オーケストラ171人、それに指揮者のマーラーをいれて、1030人で演奏された。今日この曲を演奏するとなると、かなり大きなホールが必要となる。
 8番はマーラーが生きていた間に演奏された最後の交響曲である。(完成している残りの2曲はブルーノ・ワルターの指揮で初演)7番初演がうまくいかなかったのに対し、8番初演は大成功で、著名人が多く列席する中、喝采は30分も続いたと伝えられる。マーラーが死んだ1911年の秋から翌12年の春にかけて、ウィーンだけでもこの曲は13回演奏されているそうで、曲の規模、難解さ、要する費用を考えると、8番がいかにマーラーの「記念碑的作品」となっているかがわかる。  

「大地の歌」

Das Lied von der Erde



<大地の歌投票>

「大地の歌」CD紹介

<成立史>
1907年 南オーストリア アルト・シュルーダーバッハにて第1曲に着手
1908年 南オーストリア アルト・シュルーダーバッハにて完成
1911年 ミュンヘンにてブルーノ・ワルターの指揮により初演(11月20日 マーラー没後)

<編成>
ピッコロ1、フルート3(3番はピッコロと持ち替え)、オーボエ3(3番はイングリッシュホルンと持ち替え)、クラリネット3、小クラリネット1、バスクラリネット1、ファゴット3、(3番はコントラファゴットと持ち替え)、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、チューバ1、ティンパニ、大太鼓、タンブリン、シンバル、トライアングル、タム・タム、グロッケンシュピール、マンドリン、チェレスタ、ハープ2、弦5部。
アルト(またはバリトン)独唱、テノール独唱
(ユニヴァーサル版)

 西洋音楽に東洋を取り入れた作品。
 マーラーはスコアの表紙に「交響曲」と但し書きをつけているそうで、それ故が、マーラー作品を分類する上で、「大地の歌」は交響曲に位置づけられることが多い。
 中国、唐の詩人である李太白、孟浩然、王維らの作品から、6編の詩が「大地の歌」のために選ばれた。ただし、多くはドイツ語訳を含む模倣作のなかから選ばれたという。この、もとは中国詩のテキストに、東洋風の音階をベースにした曲付けを行っている。日本人は、曲を聴いて「納得できる」部分を多く含んでいると思う。が、西洋の人が聴けば、どんな感じを受けるんだろう…?
 マーラーがこの曲を作曲した頃、娘との死別、ウィーンとの決別、アルマとの思わしくない夫婦関係、悪化しつつある健康等々、マーラー自身も多くの問題を抱えていた。その気力喪失が、曲全体を覆う「諦観」や「厭世」、「別離」の気分を醸し出しているという説もある。

交響曲第9番
ニ長調


Symphonie 9
D dur


<詳細解説>

<9番投票>

第9番CD紹介

<成立史>
1909年 アルト・シュルダーバッハにて作曲に着手(10月以降はニューヨークにて書き続ける)
1910年 ニューヨークにて完成(4月1日)
1912年 ウィーンにてブルーノ・ワルターの指揮により初演(6月28日 マーラー没後)
 ⇒ 詳細解説

<編成>
ピッコロ1、フルート4、オーボエ4(4番はイングリッシュホルンと持ち替え)、クラリネット3、小クラリネット1、バスクラリネット1、ファゴット4、(4番はコントラファゴットと持ち替え)、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、チューバ1、ティンパニ(2奏者)、大太鼓、小太鼓、シンバル、トライアングル、タム・タム、グロッケンシュピール、低音の鐘3(音程指定)、ハープ2、弦5部。
(ユニヴァーサル版)

 これが作曲されていたころ、マーラーは健康的にも精神的にも危機的状況であった。しかし作曲へかける情熱は失われておらず、むしろ作曲意欲は増幅されていたようである。「まだまだ書きたい。けれど残された時間はない」といった切羽詰まった状況下で完成された作品である。
 柴田南雄氏の「グスタフ・マーラー」より、9番の紹介を引用する。
 「マーラーの全交響曲、全歌曲集のなかにあって、群を抜いた存在である。単に異彩を放っている、という以上のものであり、これによって彼の創作活動の画竜点睛が成った、といっても過言ではない。その独自性にみちた構造、大胆きわまる書法は、まさに大芸術家の生涯の絶頂期にのみ、可能なものである。楽章は四つと数は少ないが、各楽章は十分な長さを持ち、特にフィナーレの長大なアダージョは圧巻である。
 …<中略>…「第九交響曲」はマーラーにおける交響曲の完結であり、頂点である。どの楽章のどの主題も、高い音楽的表現力を保有しており、平易凡俗の影はまったくない。」

交響曲第10番
嬰ヘ長調
アダージョ


Symphonie 10
Fis dur
"Adagio"



<10番投票>

第10番CD紹介

<成立史>
1910年 トプタッハ近郊の山荘でスケッチに着手 (未完のまま)
1924年 エルンスト・クルシェネクにより、二つの楽章の復元が試みられる
1972年 デリック・クックにより、全曲復元の最終稿が完成(クック版といわれる)

<編成(第1楽章)>
フルート3(3番はピッコロと持ち替え)、オーボエ3(3番はイングリッシュホルンと持ち替え)、クラリネット3、ファゴット3、ホルン4、トランペット4、トロンボーン3、チューバ1、弦5部。
(ユニヴァーサル版)

 未完のまま、逝去しているため、現在ではその全貌を知るよしもないが、一応のスケッチが残っており、それを復元したクックによる全5楽章のものが有名である。第1楽章のみほぼ完成形で残っており、2楽章3楽章が補筆すれば演奏できるくらい、4楽章5楽章のオーケストレーションは、ほとんど形は残っていない。
 マーラーはこのスケッチを自分の死後、焼却するようにアルマにたのんでいたということであるが、アルマはそれを保管していた。それが1924年に公表され、作曲家ベルク、作曲家クルシェネク(マーラーの次女アンナ・ユスティーナの旦那にあたる)、指揮者シャルクの協力により補筆され、同年初演されている。
 その後、イギリスのマーラー研究家クックによって、マーラー生誕100年にあたる1960年に最初のクック版を世に送り出すことになる。クック版は3度ほど改訂されている。なお、補筆についてはワルター等、反対者も多く、現在でも認めない立場をとる指揮者は多い。

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