巻機山 〜2003年10月12日〜

巻機山は標高1967メートル、その昔山ろくの村人がこの山中に機を織る美しい女をみた事が山名の由来となる山である。今回はこの山に、4人で登ってきた。出発前々日までは天気予報も晴れ時々曇りとまずまずだったのに、前日には天気予報がいきなり“雨”。まじかよ。雨かよ。

そんな思いを残しながら、集合場所の群馬県藪塚本町からいざ関越トンネルを越えて登山口となる新潟県塩沢町清水の桜坂駐車場へ。この日のテントは駐車場近くに張り、チゲ鍋を作り就寝。 この日のテント場からは、素晴らしい夕日が僕たちを迎えてくれた。あれ?夕焼けの次の日ってもしかして晴れるって法則じゃ・・・

・・・夜に味わった日本酒(ひやおろし)はなかなかおいしかったぇ。
←11日に見た夕焼け


次の日は未明から強い雨に見舞われ、リーダーである僕は起床時刻から即効2時間の待機を宣言。これが功を奏したのか、朝7時頃には雨がやみ、空が明るくなってきた。みんなも同じく待機中は 寝ていたが、雨が上がり薄日が差したのと、i-modeでの降水確率が低かったのを見、僕はそのまま行動開始を決断した。コースは当初、冨田君のアドバイスからも尾根コースのピストンが無難と考 えていたが、天気の“じゃっかん”の回復に心が微妙にはずみ、ちょっとリスキーな割引沢コース〜尾根下山コースで行く事を決めた。

というわけだが、割引沢コースはきつかった。スリルと急登に満ちたコースである。小雨が降り始める中、いきなり豪快な沢沿いに出たかと思うと、ぬかるんだ道と、カニの横ばいのようなルート、 ナメと言う、一枚岩のようなところを沢水が渓谷を作り、そこがルートになっている。先頭を行っていた冨田君は笑いながらツルツルになった岩に足を滑らせ、危うく沢に落っこちそうになっていた。 長井さんは水がちょろちょろ流れる岩を四つんばいで登っていたが滑りやすくなった岩にずるずるとその体は重く落ち、かわいそうに、何もできず滑りながら不安そうに泣く子犬のようになっていた。 そして森島くんは慌ててポケットに入っていたデジカメをザックにしまい、沢へ落ちる覚悟を決めていたようだ。

沢沿いの危険地帯のクライマックスは吹上の滝周辺だ。ここでは沢が直角に曲がり、その手前で豪快な、風が吹き上がるような滝の回廊が続いている。登山道もこの回廊の脇をぬかるみを伴いながら、 吹き上がっている。もっとも危険で、スリルを感じるエリアだ。谷も典型的な深いV字谷である。このエリアを抜けると沢の水は“じゃっかん”少なくなり、中国の水墨画を思わせる先鋒、天狗岩直下 のヌクビ沢出合に至る。ここは割引沢コースでも最も沢の奥に位置するエリアである。 写真と撮りたかったが、危険な為、撮る心の余裕がなかったのが残念・・・次回こそは。

天狗の岩直下は、巨大な岩のゴツゴツした中を沢が流れる地帯である。ここはV字谷が深く、天狗の尾根へ上がる急登に取り付く所でもある。
←ヌクビ沢出合付近にて「きっつー」

急登は、思った以上にきびしー。標高差250メートルを一気に駆け上がる。紅葉した木々の間を縫うのだが、そんなものを見ている余裕はなかった。ぬかるみ、湿気、そしてあいまいなルート。一行は、 1回ルートを見失い、上越の猛烈な藪に迷い込むほどである。それでも割引沢の谷の反対側に見える景色は紅葉最盛期で真っ赤だったのが印象に強い。
←急登のさなかでも元気、減気?

急登の途中で、リーダーは遂にばてた。こんなバテは初めてに近いくらいの勢いだ。リーダーは250メートル天狗尾根への急登の途中でパーティに休憩を要請。他のみんなはまだまだ元気に見えたけど。 どお?眼下の景色も遠くの山々も、広がり始めていた青空も目に留まらないような疲労の中で、遂にパーティーは尾根に出、視線の先には笹に覆われ、沢に刻まれながらも、その雄大でおおらかな山容 の巻機本峰と円錐形の美しい形で巻機本峰と巻機山の山体を形成する割引岳が広がってきていた。
←第一のピーク割引岳(1931m)にて疲労の中でも美しい景色に感謝。

いやぁ、疲れたねぇ。この時は。「割引岳だけに登りも割引いて」なんて言ってたねぇ。割引岳は正直言って巻機本峰よりも本峰っぽいピークである。円錐形の山容はひときわこの山域でも印象的である。 みんなこの円錐形の登りには疲れたそうで、やっぱり若い森島隊員が闊歩闊歩とテンポ良くピークに到達。この後我々は、昼食 をとり食後のコーヒーをすすった。コーヒーの暖かさがピークの秋風 の冷たさを癒してくれた。

この後、パーティご一行様はピークを後にし、いよいよ、本日のメインイベント、巻機本峰を目指した。
←巻機本峰への道。右が巻機本峰、左が牛ガ岳。

巻機本峰への道は快適そのもの。木道が整備され、笹と草原が広がる雲上散歩だ。ほどなく、パーティは巻機本峰にたどりついた。この頃になると、天気はすっかり回復し、眼下には塩沢や、六日町の 町並み、遠く北には越後三山の八海山、越後駒ケ岳、中の岳が見えた。
←巻機本峰から割引岳を望む。遠かった。遠かった。

巻機本峰は三角点もなく、ピークとしては殺風景なピークだが、眺めは最高だった。近くは割引岳、そして越後平野も遠くに望めた。南に目を移せば、谷川連峰を初めとした上越国境の山々がずらりと 並んでいる。谷川岳、万太郎山、武能岳、大源太など。下の写真は、下山途中、ニセ巻機から見た巻機本峰である。今回の山旅は、非常に体力的にきついものを感じたが、それなりに秋山のさわやかで 静かな風情も充分堪能できたのが嬉しい点である。パーティを構成してくれた皆さん、今後もまた行きましょう。よろしく。

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