今月の一枚

 

        モーリス・ユトリロ




            

    1883年、画家のモデルをしていた母親の私生児として

    生まれる。母親は、ユトリロの面倒を見ず、祖母に預け

    たままだった。学校へもろくに行かなかったユトリロは、

    祖母が酒好きであった影響を受け、十代でアルコール

    依存症に陥り、精神病院へ送られる。

    そこで、ほぼ独学で絵を描き始め、世間の評価を得る

    ことになるが、この頃がユトリロの絶頂期であった。とい

    うのも、画商だけでなく、母親と愛人もユトリロの絵に目を

    付け、大量の絵を描かせることになり、ユトリロの絵の質

    は低下していく。  

    ユトリロは、再びアルコール依存に陥り、時にはスケッチ

    もせずに絵葉書を見ながら絵を描いたりもした。51歳の時、

    母親に勧められて年上の未亡人と結婚する。その女性を

    母親のように慕うが、その後もユトリロの人生は上向くこと

    なく、71歳でこの世を去った。