今月の一枚

           

            街の灯


 

          



   チャップリンの代表作の一つである。盲目の少女に恋を

    した貧しい青年が、少女の目が見えるようにと治療費を

    稼ぐために、様々な仕事に就く。喜劇なのだから、面白

    おかしく進むのだが、何とかお金をためて少女は手術を

    受け、目が見えるようになる。しかし、その時、その青年

    はすでに少女のもとを去っていた。

    ある日、青年は、花屋に働く少女を遠目で見ていた。自

    分の貧しさを知られたくないため、名乗ることもできないが、

    思い余って花屋へ入ってしまい、薔薇の花を一本買う。

    少女がお釣りを渡そうとして、その青年の手に触れたその

    とき、かつて少女を支えてくれ、目を見えるようにしてくれた

    男性だったと気づく。それを知られてしまった青年は、恥ず

    かしそうにその薔薇を口にくわえ、きまり悪そうに微笑む。

    そのシーンで映画は終わる。

    当時のある映画評論家は、このチャップリンのはにかんだ

    笑顔を、史上最高の瞬間であると褒め称えた。