今月の一枚


             原節子




            


    「永遠の処女」と呼ばれ、戦前から戦後に

    かけて活動し、日本映画の黄金時代を支え

    た名女優である。
 
    家庭が困窮していたこともあり、映画監督で

    あった義兄の勧めで女学校を中退して、映画

    界に入った。
 
    巨匠小津安二郎監督の映画に数多く出演して

    いるが、「東京物語」はその代表作である。

    ちなみに、2013年世界の映画監督358人が投

    票で決める最も優れた映画に、「東京物語」

    (1953年)が選ばれている。ハリウッド映画に

    慣れた人間が見ると、陳腐な映画と思うかも

    しれないが、台詞を極力少なくし、表情だけで

    語る映画は、彼女の性格にぴったりだと思う。

    小津監督が60歳で死去すると、監督の死に殉

    じるかのように、公的な場から身を引き、以降

    表舞台には一切姿を見せなくなった。もし健在

    であれば、今年(2014)で、94歳のはずである。